JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

妻を送る 夫を送る

2022-07-15 08:30:04 | 
配偶者の死のストレスは82.4%で親の死(77%)友人の死(76%)を大きく上回るものだ。巧者二つは実際に体験したものだが
最初のストレスは未経験だ。
図書館で選んだり、亡くなった義兄の本棚からもってきたりしたものが連れ合いをなくしたことについての本だった。そこから心に残った分を引き出してみた。

まずは図書館にあった本。結構読んでいr川本三郎なので借りてみた。

いまも、君を想う 川本三郎 著



家内、川本恵子は2008年6月17日の未明に食道癌で逝った。足掛け三年の闘病生活の末だった。私より七歳下、まだ五十七歳だった。私と家内の
母が最期を看取った。

「家内が逝って二年近くなるが、いまだに家内の部屋を片付ける元気がない。

次は今年亡くなった義兄のいた実家にあった本。国立がんセンター名誉総長だった氏が奥さんについてつづった書。

妻を看取る日 垣添忠生 著



2007年秋、妻の昭子は肺の小細胞がんで、私の勤務先でもあった、国立がんセンターに入院した。九月には北海道でいっしょにカヌーをこいでいたのに、それからわずか三か月ほどで、つまは一人で起き上がれない状態になってしまっていた。
 入院以来、どんなきつい治療にも耐え、いっさいの弱音もわがままも言わなかった妻が、一つだけ強く希望したことがある。
「年末年始はどうしても家で過ごしたい」

最近話題なっているので(予約したころ)予約した本も連れ合いの死後つづったエッセイ集だった。作家藤田宣永の妻が同じく作家の小池真理子の著書。  藤田宣永 2020年  右下葉肺腺癌で死去 69歳

月夜の森の梟  小池真理子 著



 闘病中、些細なことにも神経過敏になっていた夫は、私の言葉尻をとらえては自らの絶望を苛立ちに変えて投げつけてきた。こちらとても心労が絶えないのに、その言いぐさはなんだ、と思い、猛烈に腹がたったことも二度や三度ではない。
 そのたびに彼は諦めたような口調で言った。「もうじき解放されるよ」と。
 瞬時にして怒りは悲しみに転じた。彼の絶望が私のそれと重なった。外では季節が流れ、日が沈み、、月がのぼり、鳥と動物たちが変わらず息づいているというのに、ここにはもう、当たり前のように流れる時間はなくなったのだ、と思い、全身から力が抜けていった。

エッセイスト、医師、作家と職業はちがい、文章にはそれぞれの表現法の違いがあるが、そこにあるのは大きな喪失感だ。
小池氏の書は朝日新聞に50回にわたって掲載されたものを纏めたものだ。
多くの読者から寄せられた手紙をすべて読んだ小池氏の言葉がそれを包容しているだろう。

 夫、妻、娘、息子、兄弟姉妹、両親、ペット・・・・亡くした相手は人それぞれだ。百人百様の死別のかたちがある。ひとつとして、同じものはない。それなのに、心の空洞に吹き寄せてくる哀しみの風の音は、例外なくに通っていた。

 無意識のうちに選んだのかもしれないけれど、私なのか、妻なのか、どちらにしても心の準備に入りなさいということかもしれない。


コメント
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