ジャズ関係者50人に入門用ジャズ・アルバムを20枚アンケートして、それの上位55枚についてベーシストの鈴木良雄氏が解説した本。
著者名を書いてあるけれどジャズ・ベーシストの巨匠と印刷されているから凄い。
まずは選ばれた55枚は当たり前だけれど順当すぎるほど順当。だからこのアルバムのことをジャズ評論家と呼ばれる人が書いていたら読む気はたぶん起こらなかった。
それをチンさんが書いているから良い。枯葉のキャノンボールでは、「キャノンボールはソロはうまいけけどピアノで終わらせるなんて、そんなセンスはないと思います」とかオスカー・ピーターソンのことを「ほっといたら自分のテクニックをひけらかして、それだけで終わる可能性もあるピアニストです」とレイ・ブラウンの重大さを書いたりします。
それでも、それがミュージシャン間の愛情があるのが解るから良い。
内外で永く演奏してきたチンさんだから登場するミュージシャンとのエピソードも多いのも面白い。
ジャズを聴き始めた入門者はつまらない(ジャズが嫌いになってしまうのではないかと思うような)ジャズ評論家の書いた入門本はほっといてこちらを読む方がよほどいいと思います。
この本からみつけたここでもそうかとおもった抜き書きです。
僕もずいぶん苦労したけれど、あるとき、真理を見つけたんです。~~要するに力を抜くということなんですよ。筋力でぐいぐいいい音はしないので、ボールを投げるようなスナップを効かせるということなんです。力を抜いて弦を重力にまかせて引っ張ってもらうような。それは別にジャズのピチカートのベースだけでなく、全部のあらゆる楽器に言えることなんです。「脱力すること」が大事。ところが、口でいうのは簡単なんだけど、脱力するってむずかしんですよ。歩いているとき、腕や手に力を入れないでしょう。それと同じ状態です。脱力するとすごく手自体が重いので、その重みで弾けばいいんです。
全く同じことを言われている。
どんな人のどんなアルバムが選ばれているかとか一番はなにとかは書いてしまうと売り上げに影響するだろうからご法度。
1年半前からチンさんの伯父さんが作った教本にお世話になっているからじゃないけろえどおもしろいジャズ本です。