罪に問われるいわれない…小沢氏の意見陳述要旨
ただいまの指定弁護士の起訴状に関して見解を述べる。指定弁護士の主張は、検察の不当、違法な捜査による供述調書を根拠にした検察審査会の誤った判断に基づくものだ。直ちに裁判を打ち切るべきだ。私が罪に問われるいわれはない。収支報告書に間違った記載はなく、虚偽記載にあたる事実はない。まして共謀した事実は断じてない。捜査段階の検察の対応は、憲政史上の一大汚点として残る。
私は一昨年の3月以来、実質的な犯罪を犯した証拠がないのに、東京地検特捜部の強制捜査を受けた。なぜ私が法の原則、精神を無視し、強制捜査を受けなければならないのか。少なくとも実質的な犯罪でないと分かった時点で、捜査は終結すべきだった。延々と捜査を続けたのは常軌を逸している。検察が個人を標的としたとしか考えようがない。政治的な抹殺が目的であることが推認できるが、民主主義国家、法治国家では到底許されない暴力行為だ。
本件が特に許せないのは、国民の負託を受けていない検察が議会制民主主義を踏みにじり、国民主権を冒涜(ぼうとく)したことだ。検察が捜査、逮捕権を乱用し、当時、野党第1党の代表だった私を狙って、強制捜査をした。2年前の総選挙は半世紀ぶりの政権交代が予想され、特別なものだった。恣意(しい)的な権力行使が許されるなら、民主主義国家とは言えない。
政治家が自由意思で良心、見識に基づき、国民に奉仕する政治でなければ、もはや民主主義ではない。戦前、国家権力の乱用で政党政治を破壊し、悲惨な敗戦に至った。権力の乱用を許せば、同様の過ちが繰り返される。
東日本大震災の復興はいまだ進まず、福島第一原発の事故の収束のめどが立たない。これ以上、政治が混迷を深めれば、国民の不安が増大し、偏狭なナショナリズムや、テロリズムによって日本の将来が暗たんたるものになる。まず、政党政治と議会制民主主義を確立させることだ。