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ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

Omar Sosa & Yilian Cañizares @六本木ヒルズ

2018-10-06 12:39:41 | ワールド・ミュージック
10月5日、六本木ヒルズで開催中の「TOKYO SOUND EXPERIENCE」JAZZ ON THE HILL にて、オマール・ソーサ & ジリアン・カニサレスのライヴを観てまいりました。30分づつの2ステージ、堪能させて頂きました。

”鍵盤の魔術師”とも評されるアフロ・キューバン・ピアニスト、オマール・ソーサ。そしてハバナに生まれスイスをベースに活躍しているという新鋭女性ヴァイオリニストのジリアン・カニサレス。2人は今年コラボレーション作品をリリースしたばかり。オマール・ソーサの盟友パーカッション奏者グスターボ・バージェスを加えたトリオで登場。

まずスタイリッシュな衣装に身を包んだジリアン・カニサレスのモデル並みにすらっとした容姿に驚きましたね。アフロなのかカーリーなのかよく分からないフワッフワな髪型も格好良い!!オマール・ソーサの白い民族的な衣装との対比も面白い。彼女は身をくねらせ、スキャットしながらヴァイオリンを弾く。それはクラシカルでもあり、とてもジャジーでもあり、とてもエモーショナル。オマール・ソーサに向き合い、掛け合うように即興を重ねていく。オマール・ソーサは流石に魔術師の異名を取るだけあって、多彩なタッチでイメージ豊かな情景を描き出していく。そしてグスターボ・バージェスが様々なパーカッションを持ち替えながら、サウンドに抑揚を加えていく。

1stステージではコラボ作から「Duo de Aquas」や「Dos Bendiciones」などをやっていましたが、スタジオ録音とはまるで別物のようにイマジネイティヴな広がりを見せていく演奏に引き込まれましたね。ジリアン・カニサレスのスピリチュアルな歌声にも痺れました。3人の織りなす演奏は、リズムのニュアンスなど、とてもヴァリエーション豊かでしたが、どちらかと言えばメロウな印象。ですが、それが完全に覆されたのが2ndステージでした。

いきなりオマール・ソーサが激しい足踏みでリズムを取りながら登場。大地のリズムのような演出に客席から大きな手拍子が巻き起こるなか始まった2ndステージ。1stステージからギアを入れ替えたような灼熱のキューバン・グルーヴ。オマール・ソーサのピアノも華やかな音色で跳ねまくる、これぞキューバなタッチといった感じ。観客にサビを歌わせて、それをリズムにオマール・ソーサも前へ出てきてジリアン・カニサレスと一緒に踊ったり。

本編最後の曲ではグスターボ・バージェスがマラカスを振るんですけど。これがまた凄かったですね〜。マラカスであんなに多彩なリズムを生み出せるのか?っていう。中身の砂?をあんな風にコントロール出来るもんなんですね。振り方と言うか、テクニックと言うか、神業でしたね。ホント素晴らしかったです。もちろん、トリオとしての演奏も最高で、3人共まるで身体全体から音楽が溢れ出るかのようでした。そんな熱の入った演奏に会場も盛り上がる!

そしてアンコール。しっかり本編30分演ってのアンコールですからね。そんな本当のアンコールはキューバのリズムが強烈な、多分「El Churrero」という曲。観客達も立ち上がって踊り出す。最後はサビを大合唱。するとオマール・ソーサも前へ出てきて踊り出す。それに応えるように大きな手拍子。会場の盛り上がりも最高潮になった時、メンバー達は踊りながらステージを去っていきました。

いやはや、キューバの哀愁と、熱気溢れるグルーヴ。最高でした!!



2018 10.4 LIVE : OMAR SOSA & YILIAN CAÑIZARES 'AGUAS Trio' featuring GUSTAVO OVALLES


↑こちらは、この前日の10月4日に新宿 Brooklyn Parlorで行われたライヴの模様のようです。六本木ヒルズの2ndステージ本編最後にやったのは多分この曲。ジリアン・カニサレス、素敵ですよね? そしてグスターボ・バージェスのマラカス、凄いですよね〜。オマール・ソーサのピアノもキューバらしくて良いですね。3人ともテンション高くて素晴らしい。会場もとても良い雰囲気ですね。親密感があって。こっちも観たかったな~。


そしてこのトリオ、10月6日、7日はブルーノート東京でライヴがあるようです。

Little glee Monster

2018-10-05 19:30:26 | 邦アーティスト
六本木ヒルズにて開催中の「J-WAVE 30th ANNIVERSARY FESTIVAL TOKYO SOUND EXPERIENCE」に来ています。今日のお目当ては、19: 30から大屋根プラザに登場する、オマール・ソーサなんですけど、その前に、18: 30からリトル・グリー・モンスターのライヴがヒルズアリーナであるとのことなので、30分程ですが、見て参りました。


「世界はあなたに笑いかけている」っていう曲は良いですね。ソウルフルですし。歌もキレがあって良かった!こういう曲をもっとやれば良いのにな~なんて思ってしまいます。

オマール・ソーサのライヴ・レポはまた後日。

ジェフ・エメリック 安らかに

2018-10-04 23:54:20 | ルーツ・ロック
THE BEATLES / REVOLVER

2018年10月2日、ザ・ビートルズのエンジニアとして知られる、ジェフ・エメリックが亡くなられました。享年72歳。長く心臓病を患い、ペースメーカーを使用していたこそうです。

ジェフ・エメリックがビートルズのエンジニアに昇任したのは、1966年4月、「REVOLVER」の録音からでした。それは4月6日、「Tomorrow Never Knows」から始まりました。

エンジニアとしての初仕事が「Tomorrow Never Knows」って、いきなり荒れる大海原に投げ出された感じだったでしょうね。なにせ翌日には、あのテープループの録音をしてますから!もちろん、それまて前任者ノーマン・スミスのアシスタントとして経験を積んでましたけどね。(ちなみに、ノーマン・スミスはプロデューサーに昇格し、ピンク・フロイドを手掛けます)。それでも、アシスタント・エンジニアとチーフ・エンジニアでは雲泥の差でしょうし、何よりその時ジェフはまだ二十歳でしたから!

*海外版のWIKI によりますと、ジェフ・エメリックの生年月日は1945年12月5日とのことで、「REVOLVER」録音時の1966年4月は20歳になりますが、日本語版のWIKI ですと、生年月日が1946年12月5日になっていますので、こちらですと19歳ということになります。ですが、2018年10月2日で72歳なら、1945年が正しそう。


それにしても二十歳のジェフ・エメリックが、かのビートルズのエンジニアを任されるというのも運命的ですよね。ただ、そのジェフの若さが、当時、急速に新しいサウンドを求め始めたビートルズに合っていたというのは、よくいわれる話。つまり、経験が浅いがゆえに、型通りの録音方法にとらわれない柔軟な発想が可能だったと。例えば、「Tomorrow Never Knows」ではジョン・レノンの声をレズリー・スピーカーに通してみたり。またリンゴのバスドラムにウールのジャケットを詰め、うんとマイクを近づけて録音し、さらにリミッター&コンプレサー処理したり。ありとあらゆる手でビートルズの要求する革新的サウンドを実現していきました。

ジェフ・エメリックは、「REVOLVER」から「THE BATLES」(通称ホワイトアルバム)まで、彼らが最も実験的だった時代にエンジニアを務めました。ビートルズのサウンド的先鋭さに果たした彼の貢献は計り知れないでしょう。しかしそんな彼も、ホワイトアルバム製作中、現場の雰囲気の悪さに愛想を尽かし、去っていきます。

でもそれがビートルズとの分かれになった訳ではなく、「ABBEY ROAD」ではエンジニアとして復帰していますし、アップル・スタジオにも関わっています。ポール・マッカートニー&ウイングスの作品でもエンジニアを務めています。ビートルズの彼に対する信頼が伺えますね。

ビートルズ以外にも、エルヴィス・コステロ、ジェフ・ベック、チープ・トリック、アート・ガーファンクルなど、様々なアーティストと仕事をしています。





また、ジェフ・エメリックは、ビートルズと共に過ごした時代を、1冊の著書に纏めています。それは日本でも発売されている「ザ・ビートルズ・サウンド最後の真実」。これがビートルズのレコーディング風景が伺えるとても面白い本なのです。例えばジョン・レノンとポール・マッカートニーの共作による「A Day In The Life」ですけど、ポールの自伝的な著書「PAUL McCARTNEY MANY YEARS FROM NOW」からは、中間のオーケストラ・パートについて、その構成やアイデアも含め、ほぼポールが一人でやった様な印象を受けますが、ジェフ・エメリックの本では、当初は空白だったあのパートに、ジョンは「ものすごく小さい音から次第に大きな音になり、ついにはそれが全てを飲み込んでしまう」という抽象的なイメージを持っていて、それに対して「オーケストラを入れたらどうだ?」とポールが提案した、そんないきさつが現場にいた彼の目から生き生きと描かれているんです。ジョン・レノンのファンとしては、ちょっと嬉しかったですね。

あと「Revolution」のシングル・ヴァージョンの録音。あのジョン・レノンの激しいギター・サウンドについて、ジョンの無茶振りと、それに辟易しながらも応えるジェフ・エメリックっていう。現場の雰囲気というか、あの頃の緊張感がひしひしと伝わってきて大変興味深い。しかもそのサウンドは後世に影響を与えるほど斬新なものだったんですから、凄いですよね。でもその軋轢が、ジェフが出て行く原因になっている訳ですから、ちょっと複雑な思いですけどね…。



ジェフ・エメリックの成してきた仕事は、いわゆる縁の下的なものですので、これまで彼について語られることはあまり無かったかもしれませんが、ビートルズの快進撃に無くてはならない、天才的なエンジニアでしたね。


ジェフ・エメリックさん、安らかに。

ジョイス・モレーノ with special guest シコ・ピニェイロ @六本木ヒルズ

2018-10-03 23:37:32 | ワールド・ミュージック
10月2日、六本木ヒルズアリーナにて開催された「NIPPON EXPRESS SAUDE! SAUDADE ...30th Anniversary Carnival」を観てまいりました。こちらは、J-WAVE の開局30周年を記念したイベントの一つで、開局当時から続いている番組「SAUDE! SAUDADE ...」の30周年記念プログラム。出演はSaigenj 、そしてジョイス・モレーノ&シコ・ピニェイロです。私はかなり端ながら最前列で堪能させて頂きました〜。

滝川クリステルさんのMCのもと、まずはSaigenj が登場。この人は本当に日本人なのか?と思う程、南米の空気を感じさせる抜群のリズム表現に驚きました。ギターの爪弾きとヴォイス・パーカッションを交えて、音として鳴っている以上のリズムを感じさせるような、そのキレの半端なさはとてもファンキーでしたね。ファルセットを交えた歌もとてもソウルフルで、フルートのソロも聴かせてくれたり、短い時間ながら、盛り沢山のパフォーマンスで楽しませてくれました。

そしてこの日の主役、ジョイス・モレーノの登場です。デビュー50周年という、ブラジルが誇る至宝級の女性シンガー。日本にも何度もいらしているのでお馴染みですよね。バックのメンバーはトゥチ・モレーノ(ドラムス)、エリオ・アルヴェス(ピアノ)、ロドルフォ・ストロエテール(ベース)の3人で、後半からゲストに注目のギタリスト、シコ・ピニェイロ(ギター)が加わります。ジョイスのギター・カッティングにバンドが入った瞬間、そのリズム・アンサンブルの複雑さに、私のような凡人は一瞬、訳が分からなくなりましたね。でも徐々にその南米的リズムに耳が慣れてくると、ただただそのグルーヴに吸い込まれていくよう。さすがに匠達が奏でるグルーヴはスウィンギーでしたね。いやはや奥深いですよ〜。そしてジョイスの暖かくも爽やかな歌声が素晴らしかったですね、独特のスキャットが心地良い。メロウな曲での柔らかな歌声にもうっとりでしたね。前半は「Não Muda Não」とか、最新作「50」からの曲を中心にやってたのかな? とは言え「50」というアルバムは、彼女のデビュー50年を記念して50年前のデビュー・アルバムをセルフカヴァーした作品だそうですけどね。

後半は、軽快な「Mingus, Miles & Coltrane」とか、スピード感溢れる「Penalty」なんかが印象的でしたね。そしてゲストとして登場したギタリスト、シコ・ピニェイロがまた凄かった! アンサンブルに寄り添うようにジャズ寄りのフィーリングを注入し、リズムに絡むフレーズや、ジョイスの歌に呼応するようなオブリガードが美しかったですね〜。このギタリストは相当にやりますよ!!

終盤、圧巻だったのは「Feminina」。名曲ですね〜。ジョイスの力強く張りのある歌声と、複雑に絡み合いながら高みへ登って行くようなリズム、流麗に舞うようなエリオ・アルヴェスのピアノとシコ・ピニェイロのギター、祝祭のような華やかさが会場を包み込みました。いや〜、素晴らしかったですね。

アンコールも含めて、およそ1時間、六本木の街に響くブラジルの歌とリズム。極上の一時でした〜。



さて、これで終わりではありません、この数十分後には、同じく六本木ヒルズの、今度は大屋根プラザにて、なんとシコ・ピニェイロのソロライヴがあったんです。ソロと言っても、エリオ・アルヴェスのピアノとのデュオでしたけどね。私もジョイスのステージが終わって、アリーナから大屋根プラザへ急ぎ、ちゃっかり最前列ほぼど真ん中で堪能させて頂きました。

今度はギターとピアノだけですので、リズムの呼吸まで伝わってきそうな親密感が素敵でしたね。エリオ・アルヴェスはジョイスのステージでも随所で美しいピアノ・ソロを聞かせてくれましたが、ここでもシコ・ピニェイロのギターとの絡みは至極の一言。そして主役のシコ・ピニェイロですよ!先ほどよりさらにジャジーに、ビタースウィートなギターを存分に聞かせてくれました。ギターソロでは予測不可能なフレーズの連続で、それを流麗に高速で紡いで行く。目の前で繰り広げられるその運指の巧みさと、リズムのキレに”うっとり”と”興奮”の連続でしたね。まだ若く見える甘いマスクで、遠くを見るような表情で弾く姿も印象的でした。

そして最後にはスペシャルゲストとして、ジョイスがステージに登場しましたから驚きました。2曲で歌ってくれて、これはもう本当に贅沢でしたね。鳴り止まない拍手に予定には無かったというアンコールまでやってくれて、タイムテーブルの30分を大幅に越えるおよそ45分間、極上のブラジリアン・ジャズでした。

やっぱ南米って、凄いな〜!!



さて、10月1日~8日の8日間、六本木ヒルズでは「J-WAVE 30th ANNIVERSARY FESTIVAL」の一環として、「TOKYO SOUND EXPERIENCE」が開催中。このジョイス・モレーノ、シコ・ピニェイロなどを皮切りに、明日以降、orange pekoe、Little Glee Monster、オマール・ソーサ、iri、WONK、渡辺香津美、Ovall、大江千里、RIRI、BONNIE PINK、七尾旅人、BOKANTÉ、藤原さくら、ねごと、寺井尚子、ゴスペラーズ、などなど。多彩なアーティスト達が出演されるようです。しかも無料ですからね。

今週は六本木ヒルズが熱い!!

The Lagerphones @東京コーヒーフェスティヴァル

2018-10-01 23:26:47 | ジャズ
9月29日、30日の2日間、青山の国連大学中庭にて開催された東京コーヒーフェスティヴァルにて、The Lagerphones のライヴがあるとのことで見に行ってまいりました。

The Lagerphones は、メルボルンを拠点に活動しているトラディショナル・ジャズ・バンドで、9月14日から半月かけて、4回目となる日本ツアー中でした。


私は29日と30日、両日とも1ステージづつ見れたんですけど、どちらもステージ前には沢山の観客が集まり、皆様コーヒー片手に熱心に、楽し気に聴いてらっしゃいました。しかも29日は小雨が降りしきるあいにくの天気だったんですけどね。そんな逆境もなんのそのな楽しい演奏でした。バンドはトランペット、トロンボーン、クラリネッ ト、バンジョー、コントラバス、ドラムスの6人編成。クラリネットやバンジョー奏者がいるあたりに、本格的なトラディショナル・ジャズを感じさせてくれる一方で、服装などはいたってカジュアルだったり、ドラムスのバスドラムがスーツケースだったりと、モダンなレトロ感みたいな雰囲気も横溢で、なかなか一筋縄ではいかない感じ。

ステージごとに曲目は変えていましたが、両日とも1曲目は「When I grow Too Old To Dream」で、ニューオーリンズなトラッド感が最高でしたね。あとジェリー・ロール・モートンとか。管楽器の絡みやドラムスを含めたソロ回しも楽しい。あと面白かったのはクレージーキャッツの「スーダラ節」。日本語で歌って、振り付けもあったり。アレンジはトラッドジャズ風で、コロコロとリズムのニュアンスを変えていく展開が見事でしたね。日本語といえば「上を向いて歩こう」もやってました。これは観客もみんなで歌いましたね。もちろんカヴァーばかりではなくオリジナル曲もとても印象的。トランペットの哀愁溢れるソロが素敵だったメロウな曲や、「酔っぱらい酔っぱらい」というサビが印象的なポップな酩酊ソングなど、ヴァラエティに富んだ曲で楽しませてくれました。

今回のツアーでは、カフェなど14カ所を回ったそうです。私ももっと早く知っていればもう少し追っかけたかったな〜なんて思ったり。次に来日してくれたらぜひ、また観に行きたいです。



青山のオシャレなコーヒー・イベントで聴く、ユーモアセンスも楽しいレトロモダンなトラディショナル・ジャズ。素敵な時間を過ごさせて頂きました〜。