ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

トリクシー・ウィートリー@六本木ヒルズ ベルギービールウィークエンド東京2013

2013-09-10 19:09:30 | フェス、イベント
9月6日と7日、六本木ヒルズで開催されている「ベルギービールウィークエンド東京2013」に行ってまいりました。お目当てはトリクシー・ウィートリーのライヴ。


*これからトリクシー・ウィートリーの来日公演を観に行かれる方は、ネタバレ(イベントと単独公演では違うかとは思いますが)になりますのでご注意ください。


2010年にリリースされたダニエル・ラノワの「BLACK DUB」。これはラノワのソロ作ではなく、彼が率いたブラック・ダブというバンド名義の作品だった訳ですが、そこでリード・シンガーを務める女性シンガーの、どこかミステリアスでソウルフルな歌声に惹かれた方は結構多かったのではないでしょうか?私もその一人な訳ですが、その女性シンガーこそ、トリクシー・ウィートリーだったのです。今年リリースされた待望のソロ・アルバム「FOURTH CORNER」も話題になりましたが、早くもそのデビュー作を引っさげての初来日です。

9月6日はイベントの初日であり、トリクシーにとっても来日ツアーの幕開けとなるステージ。当初の予定開始時刻の18時から30分ずれ込んだ18時半、司会者に紹介され、ステージに登場したトリクシーは想像以上に美形。ブロンド髪を束ね細身のパンツを履いたその姿は“モデル”と言われても納得するぐらい。ですが彼女はエレキギターを持って歌うシンガーなのです。バックにはドラムス、ベース、ギターというシンプルな編成。デビュー作から独特な陰影とオルタナティヴな緊張感を伴った楽曲達が披露されていく。ファルセットを交えながら深いエモーショナルに溢れるトリクシーの歌声が素晴らしい! 艶やかな響きの中からトロリとした憂いを染み入らせ、時折刺すような鋭さも見せる。流石、ダニエル・ラノワが惚れる訳です。バンド・メンバーが一旦下がってトリクシーが一人でエレキ・ギターを弾き語った「Oh, The Joy」のブルージーな味わいも堪りませんでしたし、キーボードを弾きながらのスロー・ナンバーもソウルフルで素晴らしかったです。

ですが野外の空の下、ビールを飲んで開放的な気分を味わいたいというお客様達には、少々サウンド的にクール過ぎたかもしれません。前の方のテーブルでさえ、ライヴそっちのけで大騒ぎしている人達がいらっしゃいましたからね。 中盤にやった「Never Enough」のようなアップ・テンポな曲ではトリクシーが日本語で「一緒に踊りましょ!」とMCをしたりで、盛り上がってはいましたけれど、やはり全体的にはイベントとのズレを感じさせられたのが正直なところ。ですがトリクシー・ウィートリーを観に来た私にとっては、大満足なライヴだったんです。1時間弱、たっぷり堪能させて頂きました。


そして翌日。この日は15時半開演という、昼間のステージ。昨日以上にアウェーな雰囲気を心配していたのですが、この日は「Never Enough」から始まり、続いて「Gradual Return」と、初っ端から踊れる曲を畳み掛けてきました。切れ込みの入ったセクシーなワンピースを着ている時点で、昨日とは違う感じがしましたが、何よりもトリクシーの歌声が断然アグレッシブ! 声のハリやノリが違うと言いますか、観客達をグイグイと引き込む勢いがある。上半身を振り回すようにギターを弾く姿も格好良い! これは完全にギアを変えてきた印象。お客さん達も、特に前方の方々はかなり前のめりに楽しんでいる雰囲気でしたし。バックの演奏も一体感があり、昨日と同じ曲をやっても違って聴こえるほどの勢いに溢れてる。また中盤に新曲?と思われる曲もやったのですが、それがまたロックな曲で、案外、この日最も盛り上がった曲になったかもしれません。

そんな勢いはスローな曲でもトリクシーをよりソウルフルに掻き立てるかのよう。キーボードを弾きながらの「Pieces」の素晴らしかったこと。溢れんばかりのエモーショナルを歌声に乗せるかのような感情表現には心底参りました。そして彼女の存在感が際立ったエレキ・ギター弾き語りの「Oh, The Joy」にも痺れました。

トリクシー・ウィートリーというとやはりダニエル・ラノワとの邂逅や、黒っぽいソウルフルな歌声が印象的で、やはりルーツ系のイメージが強いかと思うんです。実際、そうなんでしょうけど、それだけではなく、むしろロック的な緊張感や鋭利さも濃厚だったりするんです。この日のライヴを観てオルタナ系はもちろん、ポスト・パンク的なサウンドからの影響もあるのかな?なんて思ったり。「Need Your Love」の血管切れそうな程にタイトルを連呼する終盤とか、「Hotel No Name」での奇声のようなシャウトを交えてのアヴァンギャルドな風味とか、パンキッシュな一面もあったり、なかなか一筋縄ではいかないトリクシーなのです。

とまあ、個人的な印象を書かせて頂きましたが、なんだかんだで本編ラストを締めた「Breathe You In My Dreams」ですよ。トリクシーがキーボードを弾きながら歌うこの曲、その歌声に宿るソウルネスはホント素晴らしかったです。やっぱりこういうスロー・ナンバーを歌うトリクシーと言うのは、シンガーとして凄い!の一言ですね。もううっとりでした。ですがこの日のライヴはうっとりばかりしていられない。感情が高ぶったトリクシーは終盤、マイクを持って鍵盤から離れ、ステージを降り、観客の目の前でぴょんぴょん飛び跳ねながら歌い始める。しかも観客達には背を向けてただただ衝動的にハネてる感じ。やっぱりこの人、パンクです!

そしてトリクシーの熱演に拍手が鳴り止まない。拍手は手拍子へと変わり、司会者さん達の煽りもあってそれが一際大きくなった頃、トリクシーが一人でステージに再登場。歓声がこだまするなか、鍵盤弾き語りで「Undress Your Name」。しっとりとした曲に、またまたうっとりでした。


よりアルバムの雰囲気に近い世界観をじっくりと聴かせてくれた初日、そのロック・モードとも言えそうな2日目。どちらも甲乙付け難いステージでした。両日とも終演後はサイン会が催され、私もサインを頂いて、ツーショットの写真も撮って頂きました。本当にお人形さんのように奇麗な方なので、もの凄く緊張しました…。



↓9月7日のセットリストはこんな感じだったかな?(間違ってましたらごめんなさいね)。アンコール含めておよそ1時間のステージでした。

01. Never Enough
02. Gradual Return
03. Silent Rebel Pt. 2
04. Irene
05. ???(新曲?)
06. Pieces
07. Oh, The Joy
08. Need Your Love
09. Hotel No Name
10. Breathe You In My Dreams
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11. Undress Your Name


TRIXIE WHITLEY (vo, gtr, key)
SCOTT METZGER (guitar)
ALAN GEVAERT (bass) from dEUS
RAY RIZZO (drums)



さて、トリクシーは現在、来日ツアー中です。あとは名古屋と東京を残すのみですけどね。東京はその最終日、9月12日(木)渋谷 O-nest だそうです。

来日ツアーの詳細→http://www.hillstone.jp/events/trixie_whitley/




TRIXIE WHITLEY / FOURTH CORNER
サインを頂いたアルバム「FOURTH CORNER」。オルタナ感の濃い、現代的なクールさを感じさせる深遠なサウンドが秀逸。そして聴けば聴く程トリクシーのエモーションが滲みてきます。



最後に百聞は一見にしかずと言うことで、一つ動画をご紹介。鍵盤弾き語りの「I Breathe You In My Dreams」。歌い始めの低い声からその深い響きに引き込まれます。
http://www.youtube.com/watch?v=-XZGJMPnwbI


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