ルーツな日記

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今年のフジロックを振り返る その1

2010-11-16 21:44:36 | フジロック
SUSAN TEDESCHI / BACK TO THE RIVER

フジロックの個人的ベスト・アクト、第5位から始めて第4位まで書いたところで早くも頓挫していました。でもこのまま終わるつもりはまったくありません。しかしあまりにも昔の話になってしまいましたので、タイトルを「今年のフジロックを振り返る」と変えて続きを書いてみたいと思います。

という訳で、超個人的フジロック・ベストアクト、今回はその第3位! デレク・トラックス&スーザン・テデスキ・バンド!!!


2日目土曜日、フィールド・オブ・ヘヴンのトリを務めたデレク&スーザン。この日の夜はメインであるグリーン・ステージにジョン・フォガティが出たので、フォガティ~デレク&スーザンの流れで南部フィーリングを楽しんだ方々が多かったのではないでしょうか? もちろん私もその一人。ただネックだったのは、グリーン・ステージとフィールド・オブ・ヘヴンへの移動。とにかく遠いい。しかも間にはホワイト・ステージという大きなステージがあり、同じ時間帯にクロマニヨンズ~ワン・デイ・アズ・ア・ライオンという激混み必至のアクトが並んでいたんです。


で、ジョン・フォガティについてはまたいつか書く機会もあるでしょうということで、今回はフォガティが終わったところから筆を進めます。

フォガティ終了後その余韻に浸かる暇もなく速攻でヘヴンへ向けて移動。なぜなら途中のホワイトへ抜ける林道は渋滞多発地帯で、先程の理由によりこの時間帯は確実に渋滞がおこるであろうと予測されたからです。実際、林道の入り口近くで早くも渋滞。おそらくクロマニヨンズ終了によるホワイトからグリーン方面への大量の移動者と、我々グリーンからホワイト方面への移動者でごった返してる感じだったと思います。しばらく立ち往生した後、進んでは止まり、進んでは止まりを繰り返し、ようやくホワイト・ステージへたどり着いた時、そのあまりの人の多さにびっくりしました。もうパンパンでしたね。で、私が入った直後にホワイトが入場規制。危なかったと思いながら、せっかくなので私もワン・デイ・アズ・ア・ライオンをほんのさわりだけ観て、今度はボードウォークを通ってさらに奥へ。正直、疲れました。雨もパラついてましたしね。そしてやっとの思いでたどり着いたフィールド・オブ・ヘブン。しかし、やはりそこは天国でした!

デレク・トラックス&スーザン・テデスキ・バンド! このバンドがフジで観れるというのは、もう本当に夢のようでしたね。デレク・トラックスはサザン・ロックの雄オールマン・ブラザーズ・バンドのメンバーであり、自身のバンドであるデレク・トラックス・バンドを率いる、現在最高峰のスライド・ギタリスト。近年のエリック・クラプトンのツアーに参加したことでも話題になりましたね。そしてスーザン・テデスキは彼の奥様であり、ルーツ系のシンガー・ソング・ライターとして活躍し、グラミーにもノミネートされるアメリカーナな才女。

私が初めてデレク・トラックスを観たのは、07年にデレク・トラックス・バンドとして来日した時でした。実はその当時、デレク&スーザンは「Soul Stew Revival Tour」と題して一緒にツアーしていたんです。なのでその時デレクが奥様も日本に連れてきてくれないものかと切望していたのですが、残念ながらそれは叶わなかったんですよね~。しかしついに、しかもフジロックのフィールド・オブ・ヘヴンで、デレク&スーザンが観れる!こんな嬉しいことはありませんよね!

そしてこの日のライヴです。とりあえず、もうかなり記憶が曖昧ななかネットで調べた結果、セットリストはこんな感じだったようです。


01.Come And See About Me
02.Don't Drift Away
03.Space Captain
04.Love Has Something Else To Say
05.Midnight In Harlem
06.Give It Up Or Let Me Go
07.Nobody's Free
08.Standing On The Edge Of Love
09.That Did It
10.Coming Home
11.I'd Rather Be Blind, Crippled and Crazy
12.Butterfly
13.I've Got A Feeling
14.Find Your Way Home
---------------------------
15.Stand Back
16.Too Late


Member :
Derek Trucks (g)
Susan Tedeschi (vo&g)
Oteil Burbridge (b)
Kofi Burbridge (key)
Tyler Greenwell (ds)
JJ Johnson (ds&per)
Mike Rivers (vo)
Ryan Shaw (vo)

まあ、とにかくゆったりと心地よいサザン・グルーヴが堪りませんでしたね。直前に観たジョン・フォガティーは、もうそれはベタな南部ロックでしたが、こちらはソウルやブルース、ジャズもミックスされたアダルトなノリ。この辺りのミクスチャーなセンスは流石はジャム・バンド世代ですよね。サウンド自体にはそんな現代的な洗練を感じさせつつも、そのふくよかなリズムを担うのはオールマン譲りのツイン・ドラム体勢だったりするから面白い。まず一人はタイラー・グリーンウェル。デレク・トラックス・バンドの「ALREADY FREE」、スーザン・テデスキの「BACK TO THE RIVER」という、双方の最新スタジオ作でドラムを叩いていますし、デレク・トラックス・バンドのシンガー、マイク・マティソンのScrapomaticのドラマーだったりと、この界隈ではお馴染みの人。そしてもう一人がJJ・ジョンソン。この人はジョン・メイヤーのバックなんかで叩いている人のようですね。そしてベースはオールマン・ブラザーズ・バンドのオテイル・バーブリッジ! こんなリズム隊ですから、悪い訳がないですよね。序盤は彼等のリズムによって疲れがみるみる癒されましたね。

とは言え、主役はスーザン・テデスキとデレク・トラックスですよ。まずスーザン・テデスキはタイトなミニ・スカートという姿も凛々しかったですが、その歌声の見事なこと! ハスキーと呼ぶにはあまりにも強靭な喉。土っぽいフィーリングとソウルフルな感情表現、そして女性らしいまろやかさと男性顔負けな迫力を兼ね備えてる。時には思いっきりブルージーな歌も聴かせてくれましたし、ギター・ソロもガンガン弾いてました。まあ、格好良いですよ! そしてデレク・トラックス。なんとなく奥様と一緒だからか、以前より随分リラックスして弾いている印象を受けましたね。それでも一旦スイッチが入ればテンションの高いソロを弾きまくってましたけどね。天翔るようなスライド・ギターはもちろん、押し弦によるジャズっぽいフリーキーなソロを弾いたりもしていました。まあ、とにかく百戦錬磨の彼ですから、一旦ソロを弾き始めれば、そこは完全に彼の世界。デレクのギターは独特なトリップ感がありますよね。夜のヘヴンという非日常空間をさらに異次元へと飛ばしてくれました!

で、この日の曲目なんですけど、意外と知らない曲が多かったですね。もっとデレク&スーザンの共演曲として残されてる曲を中心に、双方のスタジオ作からの曲が演奏されるのかと思いきや、カヴァーや新曲が中心だったようですね。序盤に演った「Space Captain」は良かったですね~。ジョー・コッカーが「Mad Dogs & Englishmen」で歌っていたスワンプ名曲であり、フジ直前にリリースされたハービー・ハンコックの最新作「IMAGINE PROJECT」に二人が招かれて録音された曲でもあります。まさか早くもライヴで披露されるとは思わなかったので嬉しかったですね~。この曲ゴスペルっぽくて格好良いんですよ!そして決して速いテンポの曲ではないんですが、いかにもスワンプっぽいリズムが最高でしたね。スーザンの歌もソウルフルでした!

あと、多分スーザンが滅茶苦茶ブルージーだったのはボビー・ブランドの「That Did It」。そして「I'd Rather Be Blind, Crippled and Crazy」はO.V.ライト。この曲はデレク・トラックス・バンドでも演ってましたね。「Give It Up Or Let Me Go」はボニー・レイットかな? さらに終盤にはデラニー&ボニーの「Coming Home」、オールマン・ブラザーズ・バンドの「Stand Back」なんていう涙もののカヴァーもありで。まあ、やっぱり押さえるところは押さえるみたいな。他にも後からセット・リストを眺めると、ちらほらカヴァーっぽい曲名があるんですけど、正直、カヴァーなのか新曲なのかよくわかりません…。

そんな中、私が最も燃えたのがビートルズの「I've Got A Feeling」。意外性がありながら、ビートルズの中では最もスワンプっぽいという絶妙の選曲。しかも個人的に大好きな曲なのでそりゃもうテンション上がりましたよ! まあ、とにかくこの曲を力一杯に歌うスーザンには痺れました。そしてデレクのウェットなギター。印象的なブレイクの部分でジュルジュルっと切れ込んでくる感じが最高でした。さらにゆるゆると滲みてくるような粘着グルーヴ。もう堪りませんでしたね。

アンコールのラストで演奏された「Too Late」という曲も印象的でした。残念ながらデレク&ドミノスがカヴァーしたフレディ・キングの「It's Too Late」とは多分違う曲。ですがソウルフルで開放感のあるメロディが気持ち良い曲で、なんか最後に相応しい幸福感溢れる曲でしたね。こういう曲で終わるっていうのがなんか憎い演出というか、もう、ホントに持って行かれた感じ。やっぱり雨が降ったとは言え、フェスでこのバンドを観れたと言うのは幸せなことでしたね。やっぱり野外フェスならではの空気ってあるじゃないですか。さらにそこに溶け込む芳醇なリズム、森にこだまするソウルフルな歌声、闇を切り裂く高揚感抜群の異次元ギター。ホント最高でした!

そして私はまたしてもその余韻に浸かる暇もなく、グリーン方面へと急ぐのでした。果たして私の向かった先は、トロンボーン・ショーティの待つパレス・オブ・ワンダーか?  それとも…。



*かなり記憶が曖昧です。曲目等、間違いがあったらごめんなさいね。

~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 10.09.09 フジロック・ベスト・アクト 第4位!
 10.09.05 フジロック・ベスト・アクト 第5位!


2 コメント

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Unknown (sumori)
2010-11-25 16:43:54
詳細なレポートありがとうございます。デレク&スーザン、本当によかったですね。僕もフォガティのあとおっしゃるように速攻でヘヴンへ移動すればよかったのですが、そうしなかったために冒頭ちょっとだけ見損ないました。森の中で音は聴いてましたが。(笑)

彼らのような音楽はフジロック(特にヘヴン)に合いますね。あれで、晴天だったらもっとよかったですが、ずぶ濡れになりながらの鑑賞も振りかえればオツなものでした。

デレク&スーザンはテーパーOKということで、フジロックの会場にもテーパーブースがあったという話もあとになって聞きました。ネット上にも音源がアップされていますが、ダウンロードしましたか?僕はiPodに入れて時々聴いてますよ。ご存じだったらごめんなさいですが、一応リンク貼っておきます。
http://tela.sugarmegs.org/_asxtela/asxcards/DerekTrucksSusanTedeschiBand2010-07-31NaebaNiigataJapan.html
http://www.archive.org/serve/DerekTrucksSusanTedeschiBand2010-07-31NaebaNiigataJapan/DerekTrucksSusanTedeschiBand2010-07-31NaebaNiigataJapan.wma

Too Lateは僕も印象に残ったので調べてみたのですが、カバーではなくオテイルが書いた新曲のようです。
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ありがとうございます! (moccho)
2010-11-27 00:48:21
sumoriさん、コメントありがとうございます!

デレク&スーザン、良かったですよね~。雨が降ったのは残念でしたが、それでもフジのヘヴンで彼等を観れたのは幸せでした! しかも土曜日はジョン・フォガティやトロンボーン・ショーティも出て、かなり良いメンツでしたよね! ただあの渋滞は酷かったです。私のようにヘヴンへ行きたいのにホワイトで足を止めちゃう人間がいるからいけないのかもしれませんが…。すいません…。

音源のリンク、ありがとうございます! さっそくダウンロードしてみたのですが、残念ながら我が家のiMacでは上手くいかないようです。私はあまりパソコンに詳しくないので、出来ない理由もよくわからない状態です…。勉強します。

Too Lateはやっぱり新曲だったんですね! しかもオテイルが書いた曲だったとは。このバンドでスタジオ作とか作ってくれたら嬉しいですね!
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