ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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ザ・イミディエイト・ファミリー @ビルボードライヴ東京

2019-05-20 19:29:07 | ルーツ・ロック
5月16日、ビルボードライヴ東京にて、ダニー・コーチマー, ワディ・ワクテル, リーランド・スクラー, ラス・カンケル & スティーヴ・ポステル "The Immediate Family" のライヴを観てまいりました!!

まあ、もう説明不要のレジェンド達ですよね。キャロル・キング・ジェイムス.テイラー、リンダ・ロンシュタット、ジャクソン・ブラウン等々、LA界隈を中心に数々の名盤を支えてきた伝説的セッションマンの方達です。近年、ダニー・コーチマーを中心に彼らが一同に会し、ダニー・コーチマー&ザ・イミディエイト・ファミリーとして活動を始め、昨年は新録のアルバムをリリースし、来日もしました。私は昨年の来日公演は見逃しているので、このメンバーでのステージを観るのはこれが初めて。私が見たのはこの日の1stショー。ちなみに、今回の来日を機に、バンド名をシンプルに "The Immediate Family"としたそうです。


まずはウォーレン・ジヴォンの「Lawyers, Guns & Money」からスタート。フロントにはダニー・コーチマーを中心に、向かって左にワディ・ワクテル、右にスティーヴ・ポステルと、ギタリストが3人並ぶ。まずワディ・ワクテルが歌う曲から始まったのはちょっぴり意外でしたね。なんだかんだでダニー・コーチマーが主役のバンドかと思っていましたから。この曲はウォーレン・ジヴォンの1978年のアルバム「EXCITABLE BOY」収録曲。このアルバムはジャクソン・ブラウンとワディ・ワクテルがプロデュースし、ダニー・コーチマーとラス・カンケルがバックを固め、リーランド・スクラーも参加してる。ウォーレン・ジヴォンは亡くなられてしまいましたが、深く関わったワディ・ワクテルの歌で聴ける、良いじゃないですか〜。そして彼のギター、良い音してましたね! ロックらしい無骨さと、LAらしい華やかさを感じさせる、ギラついたサウンド!! なんてったて、キース・リチャーズのエクスペンシヴ・ワイノーズのギタリストですからね!!

続いて土っぽくソウルフルな「Honey Don't Leave L.A.」。こちらはダニー・コーチマー&ザ・イミディエイト・ファミリーの新録アルバムのタイトル曲。元々はダニーのバンド、アティテュードの曲ですが、ジェイムス・テイラーのカヴァー(ダニー・コーチマー、リーランド・スクラー, ラス・カンケルが参加した1977年作「JT」収録)でも知られます。この曲、格好良いですね〜。ダニーのセンスが光ります。そしてそのダニーを中心にフロント3人のギターの絡みが格好良い!! 3者3様なれど、それが有機的に交じり合い、強力なグルーヴを醸し出す。後半は3人でソロを回す。ワディは気持ちいい程直球ロック、ダニーは職人肌の技ありフレーズを決め、一番若いスティーヴは堅実さとモダンさを兼ね備えてる、そんなトリプル・リードが炸裂。

スティーヴ・ポステルが歌った「3:45 Running Through」は、彼のソロ作に入っていた曲。彼の弾くスライドも含め、南部臭香るスワンピーな演奏が良い。彼はこのメンバーの中では一番若く、デヴィッド・クロスビーやジョン・オーツの作品などにその名前を見つけることが出来る人。2017年のダニー・コーチマーの来日の時も彼をサポートし、そして昨年のイミディエイト・ファミリーに続き、今回で3度目の来日だそう。

ここでリーランド・スクラーが前へ出てきてメンバー紹介。マイクの高さが合わなくて戯けてみたり。って言うか、彼がメンバー紹介するんだ?ってちょっぴり意外だったり。あの髭ですからね、何となく寡黙なイメージありましたけど、意外と楽しい人なんですね。一人一人の名を彼が呼ぶ度に拍手喝采。レジェンド達が一堂に会していることを再認識。あらためて興奮でしたね。

ラス・カンケルとリーランド・スクラーがリズムを繰り出す。単純な8ビートなんですが、妙にバウンス感があってグルーヴィーなんですよね〜。そこへワディのギターが絡んでくる。「High Maintenence Girlfriend」はワディ・ワクテルの曲で、今年4月に日本で発売されたばかりのソロ作「Unfinished Business」に収録された爽やかなロックン・ロール。こういう曲でのワディのギターはホント最高ですね!溌剌とした彼の歌も良かった!!

「Machine Gun Kelly」はダニーのジョー・ママ時代の曲ですが、ザ・イミディエイト・ファミリーの新録アルバム「HONEY DON'T LEAVE L.A.」にも再録されていた曲。レゲエ・ブルース的な新しいアレンジが格好良かった!男の渋みを感じささせるダニーの歌声も良かったですし、ワディのスライド・ギターの味わいも格別!

そして誰もが大好きなジャクソン・ブラウンの「Somebody's Baby」。この曲はジャクソン・ブラウンとダニー・コーチマーの共作曲。スティーヴがアコースティック・ギターに持ち替え歌う。この曲も「HONEY DON'T LEAVE L.A.」に収録されていましたが、そこではしっとりとフォーキーなアレンジなっていたものの、ステージはもっとロックしていました!


隙間のあるリズムとギターフレーズの絡みがめちゃくちゃファンキーだった「Dirty Laundry」はドン・ヘンリーの曲。これはダニー・コーチマーがプロデュースしたドン・ヘンリーの1982年作「I CAN'T STAND STILL」収録曲で、ドン・ヘンリーとダニーの共作曲。この曲も「HONEY DON'T LEAVE L.A.」収録曲なんですけど、正直、原曲より断然格好良い!!さらにライヴなら尚更ですよ。何て言いますか、足し算と引き算の微妙な塩梅と言いますか、このグルーヴはまったく熟練ならではの深みですよ。3本のギターも最高でしたし、そしてリズム隊ね。このファンキーなフィーリングにず〜っと浸かっていたかった〜!!

ダニー・コーチマー絡みのドン・ヘンリー曲が続き「New York Minute」。陰影のあるスローナンバー。スティーヴ・ポステルの感傷的な歌声が良かったです。そしてまたもやウォーレン・ジヴォン「EXCITABLE BOY」から「Johnny Strikes Up the Band」。この曲は格好良いですね!!特に歌からギターソロに流れるところが最高にスリリング!ワディ・ワクテルが魅せてくれました。

そしてこの日、最もスピード感溢れた曲が「Time To Come Clean」。スティーヴ・ポステルが歌ったこの曲は新曲ですかね? 私は中央向かって左寄り、つまりワディ・ワクテル側に座っていたのですが、それはつまりリーランド・スクラーの真っ正面でもあったわけです。なんか彼って、あの立派な髭と、彫りの深い顔立ちが相まって、一見、哲学者みたいな雰囲気じゃないですか?でもリズムに揺れながらベースを弾いてる雰囲気はどことなく愛嬌があって、なんか可愛らしいんですよ。弾きながら笑っていましたし。でもベース・ラインは強力っていう。いやはや、ブイブイ言わしていましたね。まあ、バンド自体がワディ・ワクテル色の濃いロックン・ロール・バンドに仕上がっていましたから、ベースラインもぶっとくうねっている訳ですけど、特にこの曲なんかでは、スピードにノリノリ且つ節ごとにフィル・フレーズをブンブンぶっ込んで、ホント格好良かった!

本編最後はまたしても ウォーレン・ジヴォン「EXCITABLE BOY」からワディ・ワクテルも作曲に関わっている「Werewolves of London」。ウォーレン・ジヴォンに始まり、ウォーレン・ジヴォンに終わるっていう。サビの”Aa-hooo!”を観客に歌わせたりで、盛り上がりました!あとね、ワディのスライドが格好良かった!!


そして鳴り止まない拍手歓声にアンコール。最後はダニー・コーチマーのヴォーカル曲で締めましたね。アルバム「HONEY DON'T LEAVE L.A.」の1曲目を飾った「All She Wants To Do Is Dance」。この曲もファンキーなロックン・ロールで格好良い!!この曲は元々はダニーがドン・ヘンリーに書いた1985年のヒット曲で、そのいかにも80年代な原曲より、イミディエイト・ファミリーのヴァージョンの方が断然私好み。このふくよかなグルーヴは何なんでしょうね?ダニーの歌も良かった!そして最後はまたトリプル・ギターのソロ回し!

いやはや、バンド・アンサンブルの何たるかを熟知したレジェンド達によるロックン・ロール・ショー。まさかここまでみずみずしいロックを演ってくれるとは思いませんでした。正直、もっと渋〜い感じを想像していたので…。でも皆様、まだまだ若いですね。いやホント、最高でした。現行のオルタナティヴな音楽も良いですけど、こういうの見せられちゃうと、やっぱり昔は良かった!って思っちゃいますよね〜。

あ〜、良いライヴを観ました!!!


この日のセットリストはこんな感じだったでしょうか↓

01. Lawyers, Guns & Money
02. Honey Don't Leave L.A.
03. 3:45 Running Through
04. High Maintenence Girlfriend
05. Machine Gun Kelly
06. Somebody's Baby
07. Fair Warning
08. Dirty Laundry
09. New York Minute
10. Johnny Strikes Up the Band
11. I'm Not Made That Way
12. Time To Come Clean
13. Werewolves of London
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14. All She Wants To Do Is Dance



ちなみに、ダニー・コーチマーの足下にあったセットリストがこちら↓
丁寧に誰が歌うかアルファベット表記してあります。(写りが悪くてすいません…。)






よりしければこちらもどうぞ↓ 5月15日にタワーレコード渋谷店で行われたイミディエイト・ファミリー のアコースティック・ライヴ。
DANNY KORTCHMAR and IMMEDIATE FAMILY @ 渋谷タワレコ