LEONARD COHEN / OLD IDEAS
ようやく辿り着きました。2012年「ルーツな日記」ベストアルバム第1位、レナード・コーエンの「OLD IDEAS」です!!
もうすぐ80歳になるレナード・コーエンの8年振りとなった最新作。シンガー・ソング・ライターの前に詩人であり、また小説家でもあり、禅僧でもあるというレナード・コーエン。私も彼のことをそれほど熱心に追いかけて来た訳ではありません。もし表現者としての彼の魅力を全て理解しようとすれば、特に私のように英語を理解出来ない者にとってはおそらく雲を掴むような話になってしまうでしょう。ですがそんな私にもレナードは語りかけてきます。優しく、闇のように深いバス・ヴォイスで。
とにかくこの声ですよ! その低い響きは聴く者の五感を包み込み、深淵な世界へと誘い込む。それは非現実的であり魔術的。年齢を重ねるごとに深みを増すそんなレナードの歌声にただただ酔いしれてしまいます。そしてバックの演奏も見事。プロデュースはパトリック・レナード、エド・サンダース、アンジャニ・トーマス等が楽曲ごとに受け持っているようですが、独特の枯れた色合いから浮かび上がる陰影の濃いある種のムードで全体が貫かれ、楽曲を聴き進めるごとにその世界観に飲み込まれていくよう。もちろんその世界観を支配するのはレナードの歌声ですけどね。そしてその歌声に対比するような女性コーラスも特筆もの。シャロン・ロビンソン、ウェッブ・シスターズ、ダナ・グローヴァー達による柔らかく麗しいそのハーモニーはまるで女神の囁きの様でもあり、それがレナードの孤独感を伴ったある種の悟りのような歌声を際立たせます。
もちろん楽曲も良い! 特にパトリック・レナードとの共作となる「Show Me The Place」と「Come Healing」の2曲はレナード・コーエン独特のゴスペル的な情緒が濃密に感じれれ、素晴らしい!の一言。またブルージーな感覚が甘味に響く「Darkness」や、寂れた酩酊感を伴う「Amen」、長閑なカントリーがまるで危うい誘惑のように感じる「Banjo」なども見事。ですが正直、歌詞については日本盤の訳詞を読んでもその深い意味まではよく分かりません。訳者の方も歌詞そのものだけではなく、英文ライナーに載せられた歌詞の草稿のような断片をも頼りに色々と悩みながら訳されたそうです。その訳詞を読みながら考えを巡らしつつ作品を楽しむのも良いでしょう。ですが私は、敢えて何も考えず、ただただ、楽曲とサウンド、そしてレナードの声に没頭するのも有りだと思います。
邪念を捨てて、どっぷりと聴き込むことの出来る大傑作です!!
ようやく辿り着きました。2012年「ルーツな日記」ベストアルバム第1位、レナード・コーエンの「OLD IDEAS」です!!
もうすぐ80歳になるレナード・コーエンの8年振りとなった最新作。シンガー・ソング・ライターの前に詩人であり、また小説家でもあり、禅僧でもあるというレナード・コーエン。私も彼のことをそれほど熱心に追いかけて来た訳ではありません。もし表現者としての彼の魅力を全て理解しようとすれば、特に私のように英語を理解出来ない者にとってはおそらく雲を掴むような話になってしまうでしょう。ですがそんな私にもレナードは語りかけてきます。優しく、闇のように深いバス・ヴォイスで。
とにかくこの声ですよ! その低い響きは聴く者の五感を包み込み、深淵な世界へと誘い込む。それは非現実的であり魔術的。年齢を重ねるごとに深みを増すそんなレナードの歌声にただただ酔いしれてしまいます。そしてバックの演奏も見事。プロデュースはパトリック・レナード、エド・サンダース、アンジャニ・トーマス等が楽曲ごとに受け持っているようですが、独特の枯れた色合いから浮かび上がる陰影の濃いある種のムードで全体が貫かれ、楽曲を聴き進めるごとにその世界観に飲み込まれていくよう。もちろんその世界観を支配するのはレナードの歌声ですけどね。そしてその歌声に対比するような女性コーラスも特筆もの。シャロン・ロビンソン、ウェッブ・シスターズ、ダナ・グローヴァー達による柔らかく麗しいそのハーモニーはまるで女神の囁きの様でもあり、それがレナードの孤独感を伴ったある種の悟りのような歌声を際立たせます。
もちろん楽曲も良い! 特にパトリック・レナードとの共作となる「Show Me The Place」と「Come Healing」の2曲はレナード・コーエン独特のゴスペル的な情緒が濃密に感じれれ、素晴らしい!の一言。またブルージーな感覚が甘味に響く「Darkness」や、寂れた酩酊感を伴う「Amen」、長閑なカントリーがまるで危うい誘惑のように感じる「Banjo」なども見事。ですが正直、歌詞については日本盤の訳詞を読んでもその深い意味まではよく分かりません。訳者の方も歌詞そのものだけではなく、英文ライナーに載せられた歌詞の草稿のような断片をも頼りに色々と悩みながら訳されたそうです。その訳詞を読みながら考えを巡らしつつ作品を楽しむのも良いでしょう。ですが私は、敢えて何も考えず、ただただ、楽曲とサウンド、そしてレナードの声に没頭するのも有りだと思います。
邪念を捨てて、どっぷりと聴き込むことの出来る大傑作です!!