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ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

@アースガーデン”秋”&BOSSA AOYAMA 2012

2012-10-27 14:58:39 | フェス、イベント
10月27日、今日は代々木公園にて開催されている、「アースガーデン”秋”」に来ています。先程、モダン・アイリッシュ・プロジェクトのライヴを堪能しました。これから「ボッサ青山」へハシゴします。トゥリッパ・ルイスと行川さをりさん、楽しみです。



帰宅後追記:

アースガーデンはいくつかステージが有るのですが、モダン・アイリッシュ・プロジェクトが出たのはお馴染みのプランツ・ステージという小さなステージ。久しぶりに観た彼らはやっぱり格好良かったです。あの疾走するようなグルーヴにはワクワクさせられますね。大渕さんのフィドルも昂揚感たっぷりでしたし、長尾さんのギター・カッティングも相変わらずの切れ味抜群。ドラマーの田嶋さんによるカシシ(シェイカー)・ソロも間近で観れて、楽しいライヴでした。

メイン・ステージはSenkawosやPolar Chalorsを少し覗いた程度で、ほとんど観ませんでした。あとは、ルヴァンのバタハチを食べたり、その他、オーガニック&異国情緒な店舗をぶらぶら見て回ったり。このイベント独特のバザール的な雰囲気が好きなんですよね~。

ですがこの雰囲気を楽しむのも程々にして青山周辺で開催されている「BOSSA AOYAMA 2012」へ移動。まずはスパイラルレコーズにて男女ボッサ・デュオのメヲコラソン。アントニオ・カルロス・ジョピンの曲を中心にオーソドックスなボサノバを聴かせてくれましたが、ギタリストさんがエフェクトやループを駆使して神秘的な広がりを演出したり、口琴を使ったりと、情景豊かな演奏で楽しませてくれました。柔らかい歌声の女性シンガーさんも素敵でした。

続いて同じ場所でトゥリッパ・ルイス。こちらは本日のメイン・アクトです! サンパウロのインディペンデント・シーンからやって来た、新世代ブラジル音楽のヒロインだそう。流石に注目度も高いようで、会場も立ち見客で一杯になる程の盛況振り。ボサノバと言うよりはブラジル産のインディー・ポップな香りが濃く、アヴァンギャルドなスパイスも感じさせつつ、妖艶な響きを持つトゥリッパ・ルイスの存在感が際立ってましたね。バックを務めるのはガット・ギタリストとベーシストの二人だけというシンプルさでしたが、この二人のアレンジがまた素晴らしく、多彩な楽曲をグルーヴィー且つ情緒豊かに聴かせてくれました。ベーシストさんは終始ビートボックス的な口技を絡めながら、時にキーボードを弾いたり、エレキ・ギターを弾いたりとなかなかのやり手でした。終始ブラジルらしいリズムを刻んでいたガット・ギターの音色も素晴らしかったですね。

そして原宿教会で行川さをり。去年もこの場所で彼女のライヴを観て、その素晴らしさに感動したものですから、今年も楽しみにしていたのですが、その期待を裏切らない圧巻のステージでした。アカペラで歌い出した1曲目から、教会に響く彼女の歌声にただただ吸い込まれましたね。あれはブラジルの作曲家ヴィラ=ロボスの曲って言ってたかな? 彼女はフライヤーのプロフィールに「抽象画を見たあとのような、声で紡ぐ物語を体感するような、そんなライヴを目指しています。」と書かれていましたが、まさにそんなライヴでしたね。幻想的に広がるスロー・ナンバーも、スリリングに駆け抜ける高速スキャットも、それら美しくも個性的な声が織りなす様々な景色を五感で体感するような、しかも原宿教会という真っ白で静謐な空間で。ホント、素晴らしいライヴでした!

この日はアイリッシュからブラジルへ、異国情緒たっぷりな一日でした~。

チック・ロジャース@蓮田 スタジオJazz

2012-10-27 10:15:44 | ブルース
CHICK RODGERS / ESSENTIALLY YOURS

随分と前の話になりますが、このままスルーしてしまってはあまりに勿体ないので今さらですが書かせて頂きます。7月22日、チック・ロジャース@蓮田 スタジオJazzのライヴ・レポです。

シカゴ・ブルースの女王と言えば今は亡きココ・テイラー。そのココ・テイラーの秘蔵っ子、もしくは後継者と言われ、さらには新しきシカゴ・ブルースの女王とまで賞されるチック・ロジャース。日本での知名度は高いとは言えませんが、マニアの間で「チック・ロジャースが凄い!」と噂が噂を呼んでいたシンガーだけに、私も生で観るのを楽しみにしていました。今回の来日は青森で開催された「JAPAN BLUES FESTIVAL 2012」への出演をメインにしたものでしたが、いくつか単独公演も行なわれ、私が観に行ったのは埼玉県蓮田にあるスタジオJazz。バックを務めたのは晩年のココ・テイラーを支えた菊田俊介が率いるShun Kikuta Band です。

いかにもスタジオ内のイベントスペースな感じの飾り気のない会場。客層もブルース・ファンと言うより、日頃スタジオでお世話になっている地元の方々が集まった感じで、いたってローカル色の濃い雰囲気。しかもどちらかというと菊田俊介を観に集まっているお客さんが多い模様。彼はここ蓮田スタジオJazzで何度かライヴをされてるようで、この界隈で人気があるようです。

まずはその菊田俊介が登場し、彼が率いるShun Kikuta Bandの演奏からスタート。ソリッドなインスト曲「Mr. Air」から始まり、アダルトなスロー「Chicago Midnight」、ゴスペル・フレイバーな「Baby Love You So」とオリジナルの3曲を披露してくれました。本場シカゴ仕込みブルース・ギターは流石に貫禄充分。艶っぽい歌声も独特の味わいを聴かせてくれました。特に「Chicago Midnight」は良かったですね~!情感たっぷりなギター・ソロも圧巻でした。

そしていよいよチック・ロジャースの登場。小柄とは聞いていましたが、予想以上に小柄、というより華奢な感じ。しかし「Let The Good Times Roll」を歌うその歌声は想像以上に力強い。何て言いますか、声自体の芯の強さですかね? 揺るぎないテンションがビシバシと伝わってくる。あの華奢な体の何所からこんな声が出るのかと不思議に思う程。ココ・テイラー流のシカゴ・スタイル「I'm A Woman」をまるで唸るように歌うチックの凄いこと! これぞブルースですよ! アレサ・フランクリンの「Baby I Love You」も最高でしたし、アルバート・キングの「I'll Play The Blues For You」からのメドレーでのチックのブルース・フィーリングも堪らないものが有りましたね! また菊田俊介のギターもチックが来てからさらに冴えまくってる印象で、やはり良いシンガーに良いギタリストという図はグッときますね。最後はシカゴらしい「Down Home Blues」から名曲「Rock Me Baby」で1stショー終了。

休憩を挟んでの2ndショー。まずはShun Kikuta Bandが1st同様に3曲を熱演した後、チックが再登場。2ndで圧巻だったのは何と言ってもアレサ3連発ですよ! チックはブルース・シンガーと言われていますがアレサ・フランクリンなどソウル・シンガーにも随分と影響を受けているそうで、高音の切れ味なんかは特にアレサからの影響を強く感じさせられましたね。「Dr. Feelgood」なんか相当難しいと言うか。ちょっとやそっとじゃ歌えない曲だと思うのですが、いや~、見事でしたね。チック・ロジャースの歌唱力、表現力、全て濃密この上ない。まさに本物でした!「Ain't No Way」も聴き惚れる程素晴らしかったですし、「Respect」もノリノリで最高でした。そして最後はやはりココ・テイラーですよ。彼女をトリビュートしての「Wang Dang Doodle」。これも大迫力! アンコールは「Sweet Home Chicago」で大団円。

チック・ロジャースのような現在進行形の女性ブルース・シンガーが来日するというのはなかなかないことなので、貴重な体験になりました。しかもブルースもソウルもあれだけディープにパワフルに歌えるシンガーを生で観れる機会は滅多にないですからね。ブルース&ソウル・レコーズ誌107号のインタビューによりますと、メンフィス生まれのチックは父がゴスペル・シンガーだったこともあり、幼い頃から教会で歌っていたそうです。その後メンフィスのビールストリートでR&Bやトップ40を歌うようになり、シカゴに移り住んでからはブルースを歌うことが増えたそうです。トップ40を歌っていた頃は日本の赤坂MUGENで3ヶ月ハウスバンドで歌ったこともあるとか。なんとなくこれまでの苦労が伺える話ですが、あの芯の強い歌声はそういった苦労の積み重ねなのかもしれませんね。そしてあの歌唱力の根源にはゴスペルが有ることにも頷けます。

いやはや、シカゴのディープな空気をたっぷり吸ったこの日の夜でした。


*上の写真はチック・ロジャースにサインを頂いた08年リリースの「ESSENTIALLY YOURS」。これが今のところの最新作であり、唯一のソロ作です。ブルース有り、ソウル有りで、彼女の歌唱が存分に楽しめます。下の写真はこの日のセットリスト。