ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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フジロック・ベストアクト第4位! part1

2012-09-20 17:39:33 | フジロック
THE KINKS / KINKS

さて、あの最高だったフジロック・フェスティヴァルから早2ヶ月が過ぎようとしています。もう遠いい過去のような雰囲気になりつつある今日この頃ですが、先日、フジテレビNEXTにて「FUJI ROCK FESTIVAL’12 完全版」が放送され、また気分が苗場に戻ってきた感じになってきたところで、我がブログも重い腰をあげ、毎年恒例の超個人的ベスト・アクト企画に乗り出したいと思います。毎年書いてますが、あくまでも私の趣味と気分だけで選んだベスト・アクトですよ!

さて、いきなりで申し訳ありませんが、これまで「ベスト5」を選んできたこの企画ですが、正直、今年は無理です。何が無理かって、どうしても5組に絞れません。4位候補が3組あって、どうしてもここから1組を振り落とせないのです。なので、今回はベスト6です。という訳で、まずは第4位から! (なんでベスト6なのに第4位からなのか?それは第4位に3組が並んでいるからです。)

その3組が並ぶ第4位、まず1組目はレイ・デイヴィス&バンド!!!


レイ・デイヴィスは土曜にグリーン・ステージ、日曜にフィールド・オブ・ヘヴンと、2ステージに出演しましたが、私が観たのは日曜日。つまり最終日のヘヴン、トリですよ! 私にとっては、3日間の締めでした。これで最後という、期待と寂しさの入り交じった気分。おそらくヘヴンに集まった人の多くもそういう気持ちだったと思います。残念ながら集まった観客数は少なかったかもしれません。ですが同じ時間帯にグリーンではレディオヘッドが、ホワイトではアット・ザ・ドライヴ・インがやっていたという、そんな時分に敢えてレイ・デイヴィスを選んだ人達というのは、よっぽどのレイ好き、もしくはヘヴン好きな訳で、そんなマニアックな雰囲気漂う中、ステージは始まりました。

1曲目は「I Need You」。正直な話、キンクス解散後のレイ・デイヴィスにつきましてはほとんど追いかけていない私なので、昔のキンクス時代の曲を沢山やってくれたら良いな~、なんて思っていたのですが、いきなり来ました! しかも65年のシングルB面曲。1曲目から微妙にマイナーな曲で攻めてくるあたりは、さすがは英国流のひねくれ屋と言ったところでしょうか? その後も「Where Have All the Good Time Gone」、「I'm Not Like Everybody Else」、「This Is Where I Belong」、「Too Much On My Mind」、「Dead End Street」と言った通好みな曲が続きます。それにしても初期キンクスの曲ばかりですよ! 「Where Have All the Good Time Gone」なんかは嬉しかったですね~。黒いジャケットで決めて、ギターを弾きながら歌うレイ・デイヴィスがまた格好良い! 60歳代後半とは言え、身のこなしもしなやかで、想像以上にロッカーでした。それでいてその歌い口は、たとえ英語詩の内容が分らなくてもイメージとして何かしらのストーリーが伝わってくるかのような味わい。ビート感と同時に哀愁を漂わせるような表情豊かなレイの楽曲をスウィング感たっぷりにサポートしたバック・バンドも素晴らしかったです。

そして中盤に早くも登場の大名曲「Sunny Afternoon」。やっぱこれですよね!歌詞とか正直分らないんですけど、サビなんかは雰囲気で私も一緒に歌っちゃいましたよ。レイは歌も含め常に観客に語りかけるようにステージを進行していくので、ついつい乗せられちゃうんですよ。でもそれがヘヴンの雰囲気も相まって独特の親密感を生んでいく。“ファファファファ~”のコーラスが印象的だった「David Watts」、サビの盛り上がりでロック・オペラの片鱗を見せつけてくれた「Victoria」。ケイジャンっぽいノリに思わず踊り出したくなった「Come Dancing」。レイ・デイヴィス・ワールドがヘヴンの夜を華やかに包み込んでいく。

当初、レイ・デイヴィスがヘヴンのトリと発表された時、正直、意外だな~と思いました。ヘヴンらしくないな~、みたいな。今年で言えば、やはりスティーヴ・キモックやトゥーツ&ザ・メイタルズなんかはヘヴンの雰囲気にぴったりだと思うのすが、英国ロック・レジェンドのレイ・デイヴィスはどうなんだろう?と半信半疑で臨んだものの、これが合うんです! 森の中、ミラーボールが揺れるヘヴンの空気に! やっぱりレイにはストーリー・テラーとしての独特の雰囲気がありますし、そのストーリーを巧みに観客達と共有していくような非現実感が、ヘヴン特有の空気に共鳴するのかもしれません。それと観客の少なさもかえって良かったですね。なんて言いますか、今、敢えてここに居る充実感みたいな。そしてそんな空気をステージも含め、全ての観客達で共有するような一体感。なんか幸せでしたね。レイもそんな観客達に対し、終始笑顔で、愛情たっぷりに接してくれていたと思います。そんなハッピーなヴァイヴに満たされた空間。ヘヴンならではの親密度ですよ!

ステージは終盤。ブルージーに始まった「You Really Got Me」が突如、ロックに暴れ出す!あのキラー・リフです! 観客も待ってましたとばかりに大盛り上がり。やはりこの曲の爆発力は半端無かったですね~。リズムに突き上げられるが如くの開放感。観客達も踊りまくりつつ、畳み掛けるようにサビを連呼!いや~楽しかった!

レイは一旦ここでステージを去りますが、ほどなくして戻ってくる。ここからはアンコール。まずはギタリストと2人(ドラマーさんも居たかもしれません…)でアコースティック・セット雰囲気による「Waterloo Sunset」。これも大名曲ですよね。もちろん“シャララ~!”で大合唱。続いて「Dedicated Follower of Fashion」。これも大好きな曲。キンクスらしい曲ですよね。レイは曲名の部分を観客に歌わそうとしますが、流石に上手く歌えない。ですがより簡単で印象的な“Oh, yes he is!”でのコール&レスポンスで大盛り上がり! この辺りのフレンドリーな感覚はアコースティックならでは。それにしてもアンコールでこの曲が聴けたのは嬉しかった!

そして極めつけは「Lola」。もうこれは迷い無しの大合唱ですよ! 前日のグリーンではこの名曲を演らなかったそうですけどね、この夜はまさしくハイライト。“ララッラッラ、ローラ!”、私もたっぷり歌いました! ラストはバンドが戻っての「All Day and All of the Night」。キンクス屈指のギター・リフが炸裂する! レイは激しいステップを踏んで観客を煽る。それに応えるかのように観客達もお祭り騒ぎ。ホント素晴らしい夜でした!


何だかんだでキンクス時代の曲オン・パレード! 今年はストーン・ローゼス、ノエル・ギャラガー、レディオヘッドなど、UKロックが大充実なフジロックでしたが、本当の英国好きは、やっぱ最後にこれ観ないとね、と思いました!


01. I Need You
02. Where Have All the Good Time Gone
03. I'm Not Like Everybody Else
04. This Is Where I Belong
05. Too Much On My Mind
06. Dead End Street
07. Sunny Afternoon
08. Nothin' In The world Can Stop Me Worryin' 'Bout That Girl
09. David Watts
10. Hard Way
11. Victoria
12. 20th Century Man
13. Celluloid Heroes
14. Come Dancing
15. You Really Got Me
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16. Waterloo Sunset
17. Dedicated Follower of Fashion
18. Lola
19. All Day and All of the Night


*上の写真は「You Really Got Me」を収録したキンクスの1st作。64年のリリースですから、後2年で50周年ですか? 歴史を感じますね~。




さて、以上がレイ・デイヴィスのライヴ・レポな訳ですが、この夜のヘヴンの雰囲気が最高だったので、その辺についても少し書かせて頂きます。

実は私、偉そうにレイ・デイヴィスのライヴ・レポを書いてる割には、ちょくちょくステージ前から離れたりしてたんです。UKロックが好きな割にはレディヘにまったく興味が無いという我が妻がヘヴンに来ていたので。まあ、とにかくこの夜のヘヴンは人が少なかったです。ステージが始まると後方には人影まったく無しですからね。こんなに空いてるヘヴンは久しぶりでしたよ。個人的には01年にエミネムの裏だったホットハウス・フラワーズの時を思い出しましたね(あれも最高でした!)。 ま、あの時はもっとガラガラでしたけど…。で、途中でちょっと抜け出して、妻がくつろいでいるロータスカフェへ行ったんです。客は妻しか居ない。コーヒー飲みながら椅子に座ってもほぼ障害物無しでステージが見えちゃう。これはこれで極上でしたね。で、妻がピザを食べたいと言うので、さくら組へ。もちろん客ゼロですよ。あのいつも大混雑のさくら組が。そして焼き上がった極上のピザを食べる。レイ・デイヴィスのライヴを観ながら。最高の気分でしたね!まあ、なんて言いますか、ただ空いてるから良かったというだけではなくて、最近のヘヴンには無い、浮世離れしたゆったりした時間がことのほか滲みました。 まさに天国! 妻も混雑しているヘヴンしか知らなかったのでこの状況には大喜び。例年、ヘッドライナー~クロージング~記念撮影~Power to The Peopleと、グリーンのモッシュピットで締める妻でしたが、今年ばかりは「最後、こっちに来て良かった!」とご満悦でした。レイのライヴも思いのほか知っている曲が多くて楽しかったとのこと。そしてライヴ終了後のヘヴン独特の黄昏を味わって、帰路についたのでした。



レイ・デイヴィス演奏中のヘヴン


ロータス・カフェのベンチからステージを。


さくら組のピザ「ビアンカ・コン・カルチョフィ」


ミラーボールの光が揺れる帰り道。