ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

アイリッシュ、そしてニューオリンズ・ジャズ

2011-10-06 20:26:14 | ジャズ

最近、立て続けに面白いライヴを見たので纏めておきます。


9/29(木)Modern Irish Project×チェ・ジェチョル @コピス吉祥寺ウッドデッキ
邦アイリッシュ・シーンにおける新世代の旗手、モダン・アイリッシュ・プロジェクト。ドラムス、ギター、フィドルのトリオ。彼等のライヴは何度か見た事がありますが、今回は韓国太鼓チャンゴ奏者のチェ・ジェチョルさんとのセッション。とにかくモダン・アイリッシュ・プロジェクトのライヴは凄い! 数曲をセットにして演奏されるアイリッシュのスタイルが、まるでメドレーをインプロの流れで自在に繋いでいくかのようなジャム・バンド的なスリルを横溢に感じさせてくれる。田嶋友輔さんのスウィンギーなドラム、キレのあるカッティングで縦横無尽にグルーヴを支配する長尾晃司さんのギター、そしてワウなどのエフェクターを駆使しつつイマジネイション豊かなソロを彩る大渕愛子さんのフィドル。この3人の絡みはエネルギッシュ極まりない。さらにこの日は、チェ・ジェチョルさんの韓国太鼓が加わる。日本の鼓を一回り大きくしたような形の太鼓を腰の辺りで叩くのですが、これがもう、まるで舞うように叩く。ここぞという時はステージの前方へ躍り出て華麗にステップを踏みながら叩いたり。さらに頭に被った帽子の先端には新体操で使うような長いリボンが付いていて、リズムに合わせて頭を振ると、そのリボンが奇麗な円を描くようにぐるぐる回るというパフォーマンス。アイリッシュ音楽に舞う韓国の伝統。面白いですね~。もちろん彼が乗ってくるとリズムの勢いも俄然増してくる! 大渕さんのフィドルも格好良かったな~! この日は吉祥寺コピス前で行なわれているバスキングというストリート・ライヴでして、彼等のエキサイティングな演奏に沢山の人が集まっていました。

Moden Irish Project のサイト→http://mipmusic.jimdo.com/



10/2日(日)John John Festival×神永大輔 @コピス吉祥寺ウッドデッキ
モダン・アイリッシュ・プロジェクトの数日後、同じ場所でのバスキングで観たジョン・ジョン・フェスティバル。こちらも今熱い邦アイリッシュ・シーンの一角を担うグループ。今回は尺八奏者の神永大輔さんを加えてのライヴ。モダン・アイリッシュ・プロジェクトが韓国太鼓とのコラボならば、こちらは尺八とのコラボですよ! アイリッシュ音楽ではティン・ホイッスルなどの笛が使われるので、尺八が入ってもさほど違和感はないかな? でも尺八特有の“ブワッ!”というアタック感や、音をブルブル振るわすような音色がアイリッシュの中で響くとやはり新鮮。私はこのジョン・ジョン・フェスティバル自体、ライヴを観るのは初めてだったのですが、モダン・アイリッシュ・プロジェクトとはまた違った魅力があって良かったですね~。まずリズムがドラムではなくバウロンというアイルランドのパーカッションを使っている。このバウロンを操るトシバウロンさんのリズムがエモーショナルで良いんですよ! で、Johnさんの弾くフィドルもアコースティックですし、Annieさんのギターもいたって素朴な感じ。演奏自体もよりトラディショナルで叙情的。ですが聴き進めていくうちに、やはり現代的な洗練を感じさせてくれる。演っている曲目もオリジナルやゲーム音楽(ファイナル・ファンタージー等)のカヴァーだそう。楽曲のスケール感を感じさせてくれる情感豊かな演奏が素晴らしかったですね。また尺八が加わる事で独特な世界観を聴かせてくれました。

ちなみに、このトシバウロンさんは、モダン・アイリッシュ・プロジェクトの長尾さん、大渕さん、さらにパリ在住で欧州のブルースシーンで活躍中というハープ奏者の清野美土さんと共に、ハモニカクリームズというバンドもやっているそうで、こちらはアイリッシュとブルースを掛け合わせた“ケルト・ブルース”なる音楽をやっているとか。実は私も一度だけこのグループのライヴを観た事があるのですが、なるほどケルト・ブルースでした。さらにジョン・ジョン・フェスティバル本体はニューオーリンズ・ジャズのグループ、ハチャトゥリアンとの交流もあるようで、YouTubeで検索すると両者共演による「聖者の行進」や「Iko Iko」が観れたりして面白い。

John John Festival のサイト→http://jjf.jimdo.com/


それにしても、アイリッシュを中心に、韓国、邦楽、ブルース、ニューオーリンズ・ジャズがクロスオーバーしているこの現況、興味深いですね~。



9/30(金)ハチャトゥリアン @西荻窪ミントンハウス
そして、そのハチャトゥリアン。トロンボーンの菊池ハルカさんと、バンジョーの丸山朝光さんによるニューオーリンズ・ジャズ・ユニット。二人はハロバンドというバンド編成での活動もされていまして、私はそのハロバンドのライヴは一度だけ観た事があるのですが、こちらのハチャトゥリアンはこの日が初めて。トロンボーン&バンジョーというスタイルはなかなか珍しいと思うので凄く楽しみにしていました。やはりトロンボーンとバンジョーだけという恐ろしくシンプルな組み合わせは、より原始的なトラディショナル感を感じさせてくれますし、また逆にシンプル故のディープさがありましたね。二人の呼吸とか、音と音の絡みや反応が濃密に伝わって来る感じ。1曲ごとに曲の説明などもしてくれるので、私のようにジャズに疎い人間でもとても楽しい時間を過ごす事が出来ました。もちろん「On The Sunny Side Of The Street」、「Bourbon Street Parade」、「Basin Street Blues」など超有名な曲もやってくれましたし、「Iko Iko」までやってくれました。トロンボーンの響きはサックスやトランペットとは違う暖かみがあって良いですね。菊池さんの吹くトロンボーンも流石にスウィンギーで味わい深い音色でした。そして丸山さんのバンジョー! 土っぽいコード感はいにしえのかの地へとトリップさせてくれるようでしたし、小気味良いストロークにはまるでパーカッションのような印象さえ受けました。そしてそこへ菊池さんのトロンボーンが絡む。良いですね~!! やっぱニューオーリンズは良いな~! ちなみにこちらの西荻窪ミントンハウスとうジャズ・バーも初めて入ったのですが、休憩時間になると、出演者と観客がマスターの元に集まり、様々なニューオーリンズ・ジャズ話に花が咲くという素敵なお店でした。

で、この菊池ハルカさんという方、「日本でマルディグラをやりたい!」という自らのニューオーリンズ愛から『マルディグラin島根』を計画されているという素敵な女性。マルディグラと言うのはニューオーリンズで行なわれる音楽祭で、世界三大カーニバルにも数えられている巨大なお祭り。それをニューオーリンズの姉妹都市である島根でやろうというもの。ご自身も実際に島根へ行き、現実に向けて着実に歩を進めているようです。ぜひぜひ、実現させて欲しいですね!! 日本でマルディグラ! 楽しそうですよね~!

ハチャトゥリアンのサイト→http://haroband.com/khachaturian/
菊池ハルカさんのブログ→http://haroblog.jugem.jp/