通夜に行った。
親戚ということで、通夜の前に「御飯よばれてください」と案内された。
通夜の場所である集会所の隣のお家が食事場所として提供されていた。
献立は、地域の人たちが作ってくださった「おでん」「お漬物」「酢の物」「サラダ」
ひとりひとり大皿に八種類ほどのおでんを入れて持ってきてくださる。お漬物は、ぬか漬けのたくあんと白菜で大皿に盛ってある。
とてもおいしかった。特にお漬物がおいしかった。いい加減の糠の風味がたまらない。
亡くなられたのは、義母の義姉。亡くなるまで自宅で過ごす96歳の大往生だった。
耳の遠くなった義母は自分の生家なので自分が知っている人の今を給仕してくださってる人に聞くのだが・・・、
・・「ああ、あの人は早くに亡くなったったよ。」
・・「あ、その人は、そこの仏壇のところの写真の人・・」
上げる名前のほとんどが他界されていたということに代替わりを感じたようだ。
6時からの通夜式というので少し前に通夜会場に入る。
立派な欄間のある二間を大きくあけ放ち、上(かみ)の部屋には祭壇と喪主家族。下(しも)の部屋は祭壇に向かって縦半分右側の親戚の席に正座する。
大きな掃き出しの窓から見えるテントでは寒い中自治会の方が受付をしてくださっていた。
次々と数珠を手にした人が入ってこられ喪主に挨拶・焼香して出て行かれる。
部屋の左半分は開いたままである。
・・・お坊さん、遅いね。
30分過ぎた。
後ろの席にいたおじさんたちが話す。
・・・どこどこの家の法事の時、お寺さんに10時ゆうとったのに・・来たったんは1時半やったらしい・・・。
・・・???
そうなの?
まさか・・・。
一緒に行っていたおじいちゃんが言う「昔は、通夜ゆうたら夜通しのもんやったんや。」
・・・夜通しここに居るというのか・・・。
一時間をとおに過ぎた頃、自治会の方々が入ってこられた。順々に焼香されご挨拶される。
あかちゃんを抱いたお母さん・保育園児・中学生・・・その地域に住んでおられる人全部が来られたようだ。
全ての人の焼香と挨拶が終わって、代表者からの言葉があった。
「では、自治会はこれで。また、明日10時に。仕事から帰っていない息子たちは帰り次第参ります。」と。
私の知っている通夜というのは、時間になれば導師がお経など唱え参列者が司会進行の指示に従い焼香するというものだったので意外だった。
会館で行われることが多くなった葬祭儀式なのだが、「ここの地域だけになったよ。昔風のは。」と話されているのを聞いた。
「通夜受け」というらしい。
お年寄りからあかちゃんまで、その地域に住んでる人が訪れ個人の話をしたり遺族を悼む・・・なんともいえない異空間のようで温かいものを感じた。
時間に追われた儀式よりもいいね~~。そんな話をしながら帰路についた。