哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

教祖

2012-01-06 07:16:00 | 時事
最近またオウム真理教関連の報道があった。指名手配中のメンバーが17年経って自首したそうだ。確か教祖は死刑囚のまま執行はされていないと思う。

冗談だろうが、といってもご本人は冗談ではないと書いているが、池田晶子さんも「教祖になる」と書いたことがある。


「聞くところによれば、教祖と教義と神殿があれば、それ(宗教法人)は成立するのらしい。なら神殿はここ、このおんぼろマンションの一室でよろしい。教祖は私、池田某、教祖と言えば、その団体名に象徴されている。名付けて、宗教法人「無神教」。
信じてはいけません。信じたらダメ、救われません。神は、ありません。と言って、ないのでもありません。ないということは、ありません。信じてはいけません。
冗談のように聞こえようが、これは真理である。真実の教義である。いやじっさいに、冗談ではないのである。」(『41歳からの哲学』「信じてはいけませんー宗教」より)



それにしても「無神教」という逆説的矛盾表現は、池田晶子さんらしくて面白い。神はあるのでもないのでもありません、信じてはいけません、というのが宗教なわけないであろうと思うが、一方で「考えずに信じてしまう」という行為は、宗教でなくてもカリスマ的な魅力を持つ人物に対してよく起こりうる。スポーツ選手や経営者の語録などが出版されることがよくあるが、大きな成功を成し遂げた人物の言葉を有り難がっているだけであれば、同じことであろう。
池田さんの言っているのは、自分の頭で考えよ、ということだ。これは池田晶子さんの残した言葉について、我々が対する態度としても留意したい。