哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

なでしこ紫綬褒章

2011-11-06 01:59:01 | 時事
 まだW杯優勝や五輪出場に酔いしれている感じだが、国民栄誉賞に加えて、なでしこジャパンに紫綬褒章が与えられるという。震災で大きな打撃を受けた日本にとって、勇気を与えたということからだろうか。きっと年末の紅白歌合戦まで、まだまだ余韻を引っ張りそうだ。


 W杯優勝時には多くの記念保存版のなでしこ特集誌が発行されていたが、立ち読みしていて唯一共感したのが、ナンバー誌の特集冒頭記事であった。これまでの海外の日本人選手の活躍を、異常に偏重して報道するメディアの態度を批判していたのだ。逆になでしこ優勝については、そういうメディア以上に褒め称えている。確かに、アジア初の優勝が、他のアジア国にも好影響が出ているとの報道もNHKであった。


 しかし、ここは立場を変えて考えてみたい。日本人には是非アメリカの立場でこの試合をもう一度トレースしてみてほしい。前半かなり押し気味だったのに、点が入らず、後半でやっと実力差を見せつけて先取点を獲得したが、最終的に同点とされてPK戦となってしまった。PK戦もあと一歩のところで運を逃したように負けてしまった。実力は明らかに日本より上だし、戦いぶりも悪くなかったのに、ほんの少しの運の差で優勝を逃したのだ。


 つまりアメリカもよく戦ったことがよくわかるし、勝者を褒め称えることは、敗者も褒め称えることであることに気づく。上述のナンバー誌の特集冒頭記事でも、ワンバック選手の名前も日本人の記憶に刻まれたはず、と書いている。

 そして戦いが終われば、やはりノーサイドであり、優れた敗者あっての素晴らしい勝利であることを自覚すべきなのだ。勝者の国が自国側の勝利にばかり酔いしれているのはあまりに一面的であり、一面的な見方になってしまう弊害は、過去の戦争の歴史においても反省すべきであることはわかっているはすだ。


 スポーツは所詮スポーツであるが、オリンピックもサッカーも何か間違うと代理戦争のような様相を呈す。だからこそノーサイドの精神を、常に忘れるべきではないと思う。讃えるべきは最終勝利よりは、お互いの健闘なのであろう。池田晶子さんが常々言っている通り、何者でもない者同士いかなる理由で戦うのか、ということである。