哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

日本人へ 87

2010-07-11 00:55:55 | 時事
 いよいよ参議院議員選挙の投票日である。

 先日発売の文藝春秋の掲題連載で塩野七生さんは、民主党の過半数獲得を願望すると書いていた。決して民主党の政策を支持するからというのではなく、日本の政治が安定しないと、世界からいよいよ無視されてしまう国家になってしまうからだ。ねじれ国会で法案も通らない事態になったり、無理に連立して民意を反映していない弱小政党にふりまわされては、日本の政治の混乱は継続することになる。ましてや日本のトップがころころかわるのでは、国際政治においてリーダーシップを発揮できるわけがない。すでにかなり「ジャパンパッシング」がひどくなっており、経済でも中国にお株を奪われている現状では、なおさらだ。

 政策よりも政権の安定を優先する考え方は、結構理にかなっているかもしれない。少しずれるが、曹洞宗のような禅寺修行でも、修業僧は厳しい作法など、中身よりは形から入る。形によって人間を整えることにより、中身がついてくるという。政治においても、議決の過半数を支配してこそ大胆な改革ができるといえる。だから、民主党が1党で過半数をとることが最も望ましいというわけだ。

 しかし、それならなにも民主党でなくともよいということになる。今民主党が衆議院で過半数を取っているからという理由だけだ。もともとは自民党が政権与党の座から落ちたことが、今の政治の不安定さを招いている。ただ、政治の中身を健全にするためには、長期政権もあまり望ましくは無い。長期には至らない安定した政権の運営が可能という意味で、二大政党制は悪くないのだろう。

 この際、政策には眼をつむり、民主党に政治をまかせる勇気が試されるのだろうか。中途半端な政策でも困るが、何も決められない政治空白ももっと困る。いっそ大胆な改革で、無益かつ有害な参議院の廃止を行ってもらった方がよいように思う。