「座知らず」

「座知らず」という言葉を辞書で探しても、見つからない。
しかし、そういう言葉が、講談や浪曲のセリフの中には登場する。
何かの寄り合いがあって、席に座る時、自分の立場を考えずに、場違いな席に座ることである。
僧侶の世界は、そういう機会がたくさんあって、若いうちから、しっかり身につけることになっている。
偉いのに下座のほうに座るものも「座知らず」だし、下っ端なのに上のほうに座るのも「座知らず」である。

もちろん、あやふやな立場の場合は、気にしない度量も必要である。
レストランで、もてなす側が、眺めのいい席に座るもの「座知らず」のそしりをまぬがれない。
居酒屋でも同じことである。
でも、「今日のオススメ」などの張り紙があったら、それが見えるほうに自分が座って、それらを注文するのか、お客さんに見えるように座ってもらって遠慮なく頼んでもらうほうがいいのか、私はいつも判断に迷う。
基本的には、入り口に近いほうが下座だが、さりとて、逆に座ってもらって、今度はトイレに近いような場合だって、たくさんあるからである。だれか、よい智恵をお持ちでないだろうか。
というようなことを書いている私は、物知らずであり、親不知の歯はもうとっくに抜けている。うはははは。
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