ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687) |
ベストセラーとなった「ウェブ進化論」を書いた
梅田望夫さんの新刊です。
前作の「ウェブ進化論」に対するネット上の書評2万件を読み、
「自分が発信したものが、読者固有の経験と結びついて
自分が意識していた以上のものとして還ってきた」
という体験を踏まえて書かれた本です。
前作を貫いていた「オプティミズ(楽天主義)」は、今回も健在で、
これからの時代の生き方について、具体的なアドバイスがありました。
この本を読んで、未来をちょっと覗き見したような・・・、
ちょっとドキドキした気持ちになりました。
●ウェブ進化という大変化に直面している同時代の私達の生涯は
「一身にして二生を経るが如し」。
●この時代に生きるうえで大切なことは、
「最初の半分」での常識(現在私たち皆が身につけている常識)と
「あとの半分」での常識はきっと異なるはずだという想像力を
抱きながら生きること。
●言語化された知がネットを介して容易に共有されることで
あらゆる分野に「学習の高速道路」が敷かれるが、
その先にあるのは「大渋滞」。(羽生善治二冠)
●大渋滞の先でサバイバルするには、
大渋滞を抜けようと「高く険しい道」を目指すか、
大渋滞に差し掛かったところで高速道路を降りて
道標のない「けものみち」を歩いていくか、
という二つの選択肢がある。
●大好きな分野があって、目の前に「学習の高速道路」がある。
ここを走るのが楽しくて仕方なく、時間がいくらあっても足りないと
感じる人は、「高く険しい道」をいく資格十分。
人生の幸福とは、「好きを貫いて生涯を送ること」。
●「高く険しい道」が、専門志向の自由な生き方であるのに対し
「けものみち」は、総合志向の自由な生き方。
ただ、日本では、「けものみち」の生き方が言語化されていない。
●「けものみち」は、「ロールモデル思考法」で見つける。
外部の膨大な情報からたくさんの「ロールモデル(お手本)」を
直感で選び続け、なぜそれに惹かれたのか考え続けることで
自分の志向性が見えてくる。
●「けものみち」で大切なのが、「in the right place at the right time」
「正しいときに、正しい場所にいる」ことで、これが全て。
誰かの心に印象を残し、大切な時にその誰かから誘われる能力
・・・と言うと難しく聞こえるが、人間としてごく常識的で、
少し積極的に日常を丁寧に生きることに他ならない。
●「群集の叡智」とは、ネットの混沌が整理されて顕れるものではなく
「もうひとつの地球」に飛び込んで考え続けた
「個」の脳の中に顕れるものである。
●「もうひとつの地球」を健全に進化・発展させていくためには
より良く生きることへの意味を持ち、何らかの分野に秀でた人が
「パブリックな意識」強く持って、そこに関与していくことが必要。
それによって、一日五分の善意や小さな努力を持ち寄る参加者を
世界中から惹きつける創造的コミュニティも現れるのではないか。
最後の話は、「ソフィアバンク」のような取り組みかなぁ・・・
と思いました。 ↓
http://www.sophiabank.co.jp/japanes/index.html