風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

韓国の国柄

2015-12-23 16:09:16 | 時事放談
 最近の報道を見ていると、やっぱり韓国はヘンだとあらためて思い直した人が多かったのではないか。
 自由・民主主義が絶対とは言わないし、実際に中東で国家と呼べるのはイランやトルコくらいで、それ以外の部族社会にあって西欧諸国に勝手に線引きされた国家という人工的な枠組みの中で独裁的な権力が安定的な秩序を築いてきたところでは民主主義がどうやら機能しそうにないのは「アラブの春」以降私たちの眼前に突き付けられた現実である(民衆がどう思うかは別にして)。しかし、私たち(広い意味での)西欧的な価値観を奉ずる国家において、チャーチルが皮肉を込めて言ったように、民主主義は最悪の政治形態だと言いつつも、これまでに試みられてきたあらゆる政治形態(例えば独裁主義、全体主義、共産主義、社会主義)を除いてという留保がつくこと、つまり史上、遥かに優れたシステムであることは間違いない。そして、さすがのチャーチルも、中東に民主制を植え付けようと試みることは予想だにしていなかっただろう。況や極東においてをや・・・ということか。
 中国共産党は(民衆がどう思っているかは別にして)西欧的な価値観を真っ向から否定し、それでも西欧諸国を尻目に未曾有の経済成長を続けながら、自ら西欧的価値観に挑戦し続けるのは周知の通りだ。その中国と文化的背景を共通にし、歴史的に何度も繰り返しながら再びその磁場に引き寄せられつつある韓国で、朴槿恵大統領への名誉毀損で在宅起訴されていた産経新聞の前ソウル支局長の無罪判決が確定した。
 そもそも起訴が無理筋だったというのが西欧的価値観による見方だ。そして、産経Webによると、在宅起訴した当時(昨年10月)の法相(黄教安氏)は現首相、起訴を強行したソウル中央地検トップ(金秀南氏)は検察総長と、権力の頂上に登り詰めた彼らが関わった起訴にして、控訴はなかった。控訴しない理由として、検察関係者は外務省からの善処要請に加え、コラム内容が虚偽であり、(私人としての)朴大統領への名誉毀損が判決で認められたことを挙げているが、後半部分は言い訳だろう。それを真の理由とするなら、産経コラムが転載したという本家の朝鮮日報コラムを相手取るべきだからだ。その間に空気が変わってしまったのだろう。
 結局、最初から最後まで、政治の関わりがポイントになる。韓国政府は公判について「あくまでも司法問題であり、日韓の外交問題ではない」との立場を取ってきたが、問題のコラムが掲載された直後の昨年8月、大統領府秘書官は「民事、刑事上の責任を最後まで問う」と断言し、検察はこれを大統領の事実上の意思と見なして在宅起訴に踏み切ったものだった。言論の自由を保障する観点で、名誉毀損を巡っては刑事ではなく民事訴訟で解決するのが国際常識であることから、先ずは日本、そして欧米が反発し、日本以上に諸外国の目を気にする韓国マスコミも反応せざるを得なくなった。最後は外務省による善処要請である。「3年半ぶりの首脳会談が行われて最悪を脱した日韓関係だが、靖国神社の事件や産経裁判の結果、再び急に冷え込む可能性もあり、今、両国が神経をつかわなければならないのはさまざまな『地雷』をうまく避けることだ」と指摘したというが、要は大統領府が諸情勢に鑑み矛を収めたということか。司法の独立もあったものではないが、結果だけ見れば「法治国家であることを否定されるというリスクは避けた」(日本の検察幹部)カタチだ。
 韓国に同情するとすれば、自由・民主国家と思われているが民主化してから30年にもならず、成熟しているとは言い辛い。産経Webによれば、韓国の言論界は、かつて朴正煕、全斗煥両政権の軍政時代には検閲を通じて厳しい規制を受け、1987年の民主化以降、言論の自由が保障されると、一転してメディアによる政権批判が活発化したが、金大中政権では大規模な税務調査などを断行してメディアを牽制し、弁護士出身の盧武鉉大統領時代にはメディアへの法的措置が増え、朴槿恵政権下では特に政府批判が相次いだセウォル号沈没事故以降、メディアへの法的措置が急増しているらしい。産経新聞の前ソウル支局長への在宅起訴はその中の1つに過ぎないのだが、反日の感情が絡んでくる。
 沈没事故当日、7時間にわたり誰も朴大統領に対面報告をしていないことから、世間では「大統領は某所で秘書と一緒にいた」との噂が広がり、その噂を朝鮮日報が取り上げたのを産経新聞が転載したものだが、そのコラムの趣旨にご丁寧に悪意の「解釈」を付け加えて韓国語に翻訳しネット掲載した媒体も同時に告発されたが、検察庁においては途中で捜査を打ち切ったかのごとく、その後何も決着をつけずに今に至っていると、前ソウル支局長は述べている。そして、公判では、朝鮮日報が噂を取り上げた背景などを質すため、弁護側が朝鮮日報記者の証人申請を行い、裁判長も当初は申請を承認して出廷を求めたが、同記者が業務上などの理由で出廷を拒み続けると、承認を取り消し、同記者の証人尋問は実現しなかった。これに対し、韓国メディア関係者は「政権側は保守系最大手紙を敵に回したくなかったはずだ」と指摘している。
 たった今のニュース速報によると、韓国の憲法裁判所は、日本統治時代に朝鮮半島から徴用されて日本企業で働かされた韓国人の遺族らが、個人の損害賠償請求権を含めて「完全かつ最終的に解決された」とする1965年の日韓請求権協定を違憲だと訴えた裁判で、裁判の前提条件を満たしていないとして却下したという(朝日新聞デジタル)。韓国では元徴用工や遺族が、日本企業3社に損害賠償を求めて13件の裁判で係争中で、このうち5件で企業に損害賠償を命じる判決が出て、3件が大法院(最高裁)の判断を待つ状態で、今回の憲法裁判所の判決が今後に影響するのかどうか。しかし慰安婦問題では、同じく憲法裁判所は2011年、韓国政府が元慰安婦の賠償請求に関する日韓間の協定解釈の相違を巡る争いを解決しないことは憲法違反と判決し、爾来、今に至るも韓国政府の外交の手足を縛ることになった。韓国の法治は、一見、司法の独立があるようで、その時々の政権やメディア関係者の立ち位置や国際社会の目線や社会・外交的な事件による世論などのムードに左右されるのではないかと疑う。そのとき、司法は政治の意向を汲んでいるようでもあり、では政治はメディアをはじめとする世論の顔色を窺っているようでもあり、このあたりに韓国の国是としての反日の闇が広がっているように思う。
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