風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

遠藤浩一氏の死を悼む

2014-01-07 01:44:57 | 日々の生活
 突然の訃報に接し、ただただ驚いています。
 長い正月休みの徒然に、実は、前回ブログの続編(オマケ)を殆ど書き終えていたのですが、急遽、追悼メッセージを差し込みます。
 故・遠藤浩一氏は、拓殖大学大学院地方政治行政研究科教授で、近代日本政治史を専門とされていました。同大学日本文化研究所所長も務めておられた関係で、氏の講演をよく聴く機会があり、保守派の若手論客として期待されてきた通り、私も、バランス感覚に優れた穏健な、しかし文章は歴史的仮名遣で記述されると言われるほどに真性の、保守思想には、明晰な論理と巧みな弁舌も相俟って、敬服し、興味深く拝聴してきました。とりわけものごとを批判するときにこそ丁寧に言葉を選ぶ真摯さには、氏の人柄が表われ、的確であること比類ないものでしたし、話が脱線するときに垣間見させるクラシック音楽や演劇への造詣の深さは、氏の論説が情感の豊かさに裏打ちされているのを納得させるに十分で、すーっと心に沁みとおるほどの細やかさを備えたものでした。
 折しも、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が4、5両日に実施した合同世論調査で、「安倍政権が目指す憲法改正論議や安倍首相の靖国神社参拝などへの賛成・支持が20~30代に広がり、『安倍カラー』と呼ばれる保守的な課題が若者世代に受け入れられている実態が明らかになった」と言います。靖国神社参拝について、「評価しない」回答(53.0%)は「評価する」回答(38.1%)を15%ポイント近く上回りましたが、年齢別に見ていくと、20代では「評価する」(43.2%)が「評価しない」(41.6%)を若干上回り、30代では「評価する」(50.6%)が「評価しない」(41.4%)を10%ポイント近く上回ったそうです。特に30代の男性に限定すると「評価する」は64.3%に達したと言います。
 こうした若い世代の、親の世代や私の世代とも異なり、過去に囚われることなく現状を虚心に見る保守的な心情には、これからの日本の新たな胎動を感じさせ、氏には理論的支柱として益々活躍が期待されたところでした。つい年末にも氏の話を伺う機会があり、相も変わらぬ朴訥とした、しかし力強い言説を思い出すにつけ、年齢も近いことから、亡くなられたことが、俄かに信じられませんし、私としても氏とのいわば思想的な対話はこれからだっただけに、その早過ぎる突然の死が惜しまれます。そんな喪失感を、今となっては遺言となってしまった言葉の数々で埋め合わせることが出来ることに辛うじて感謝し、ご冥福をお祈りしつつ。合掌。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アジアの声 | トップ | アジアの声・おまけ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日々の生活」カテゴリの最新記事