我らがユーミンに対して、京都精華大学の政治学の一介の講師が、「荒井由実のまま夭折すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいいと思いますよ。ご本人の名誉のために」などと暴言を吐いた(苦笑)。一応、理性あると一般には思われるような立場にある人が、である。ユーミンじゃなくとも、誰に対しても、今、話題のSNS上の罵詈雑言・誹謗中傷の類いで、許されるものではない。
ことの始まりは、安倍さん辞任会見の日のオールナイトニッポンで、安倍首相夫妻と親交があるユーミンが、「テレビでちょうど見ていて泣いちゃった。切なくて。私の中ではプライベートでは同じ価値観を共有できる。同い年だし、ロマンの在り方が同じ。辞任されたから言えるけど、ご夫妻は仲良しです。もっと自由にご飯に行ったりできるかな」と発言したことだという。これ自体、何のことはない、身近に接する人の感傷に過ぎない。
その講師である白井聡氏は、『永続敗戦論』の著者として有名だが、残念ながら私は読んだことがない。本棚に、進藤栄一氏との対談『「日米基軸」幻想』(詩想社)があったので、ぱらぱらと読み直してみた。末尾に次のような大胆な記述がある。
「・・・安倍政権が長期政権化した結果、国際政治的な次元で、日本はどう見られるようになったと考えるべきでしょうか。端的に言って、深く侮蔑され、愚弄されるようになったということでしょう。そして、実際にそれに値することを認めざるを得ません・・・」
2018年6月に発行された本なので、この2年間の情勢変化が織り込まれていないが、その間、米中対立が先鋭化したくらいで、安倍外交の評価に修正を迫るほどの事実があったわけではないと思う。まあ、近隣国の間での評価ということであれば、当たらずと言えども遠からずだが(笑)、それ以外の地域まで拡げれば、人によって認識がかくも異なるものかと感心する。だからと言って、ヴォルテールが言ったように、「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」ということだ。
問題は、ユーミンにもとばっちりが及ぶほど、あからさまに毀誉褒貶の激しい総理大臣は、憲政史上、かつてなかっただろうということだ(苦笑)。
歴史上、SNS時代幕開けの総理大臣ということも一因だろう。体制批判は、もとより既存メディアであるTVや左派系新聞の専売特許だが、安倍政権が本格的な保守政権として登場したと思われたが故に、これまで以上に体制批判を強めたにも関わらず、政権支持率が下がらない状況が続いた。若者を中心に、SNSやネットから情報を得る層が台頭し、既存メディアであるTVや新聞の影響力が減退したからに他ならない。そのため、既存メディアのTV(ワイドショー)や左派系新聞は、益々、体制批判を先鋭化し、それがSNSによって増幅・拡散される循環になったのではないかと想像する。
それが最高潮を迎えたのが、コロナ禍で緊急事態宣言が発出されて、行動を自粛し、あるいは仕事が蒸発した人々のストレスが鬱積した4~5月の頃のことだった。安倍政権のやることなすこと全てが批判の対象になったのは、ちょっと気の毒なほどだった。その反省があったのかどうか知らないが、共同通信社が8月29、30両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、内閣支持率が一週間前の調査より20.9%ポイントも上昇し、56.9%にまで回復したと報道された。政権末期に支持率が下がるのは道理であり、余程、反アベ(所謂アベガー)の人たちにとって、憎悪の対象がなくなることが寂しかったのだろうか(笑)
ことの始まりは、安倍さん辞任会見の日のオールナイトニッポンで、安倍首相夫妻と親交があるユーミンが、「テレビでちょうど見ていて泣いちゃった。切なくて。私の中ではプライベートでは同じ価値観を共有できる。同い年だし、ロマンの在り方が同じ。辞任されたから言えるけど、ご夫妻は仲良しです。もっと自由にご飯に行ったりできるかな」と発言したことだという。これ自体、何のことはない、身近に接する人の感傷に過ぎない。
その講師である白井聡氏は、『永続敗戦論』の著者として有名だが、残念ながら私は読んだことがない。本棚に、進藤栄一氏との対談『「日米基軸」幻想』(詩想社)があったので、ぱらぱらと読み直してみた。末尾に次のような大胆な記述がある。
「・・・安倍政権が長期政権化した結果、国際政治的な次元で、日本はどう見られるようになったと考えるべきでしょうか。端的に言って、深く侮蔑され、愚弄されるようになったということでしょう。そして、実際にそれに値することを認めざるを得ません・・・」
2018年6月に発行された本なので、この2年間の情勢変化が織り込まれていないが、その間、米中対立が先鋭化したくらいで、安倍外交の評価に修正を迫るほどの事実があったわけではないと思う。まあ、近隣国の間での評価ということであれば、当たらずと言えども遠からずだが(笑)、それ以外の地域まで拡げれば、人によって認識がかくも異なるものかと感心する。だからと言って、ヴォルテールが言ったように、「私はあなたの意見には反対だ、だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」ということだ。
問題は、ユーミンにもとばっちりが及ぶほど、あからさまに毀誉褒貶の激しい総理大臣は、憲政史上、かつてなかっただろうということだ(苦笑)。
歴史上、SNS時代幕開けの総理大臣ということも一因だろう。体制批判は、もとより既存メディアであるTVや左派系新聞の専売特許だが、安倍政権が本格的な保守政権として登場したと思われたが故に、これまで以上に体制批判を強めたにも関わらず、政権支持率が下がらない状況が続いた。若者を中心に、SNSやネットから情報を得る層が台頭し、既存メディアであるTVや新聞の影響力が減退したからに他ならない。そのため、既存メディアのTV(ワイドショー)や左派系新聞は、益々、体制批判を先鋭化し、それがSNSによって増幅・拡散される循環になったのではないかと想像する。
それが最高潮を迎えたのが、コロナ禍で緊急事態宣言が発出されて、行動を自粛し、あるいは仕事が蒸発した人々のストレスが鬱積した4~5月の頃のことだった。安倍政権のやることなすこと全てが批判の対象になったのは、ちょっと気の毒なほどだった。その反省があったのかどうか知らないが、共同通信社が8月29、30両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、内閣支持率が一週間前の調査より20.9%ポイントも上昇し、56.9%にまで回復したと報道された。政権末期に支持率が下がるのは道理であり、余程、反アベ(所謂アベガー)の人たちにとって、憎悪の対象がなくなることが寂しかったのだろうか(笑)