改修中だったノートルダム大聖堂の高層部から出火があり、屋根の大半が炎上する大火災となり、高さ90mの尖塔は約1時間で無残にも焼け落ちてしまったという。あの惨劇からちょうど一週間になる。
ゴシック建築の本家本元、その荘厳な佇まいには、年間1300万人が訪れると言われる。私も豪勢な新婚旅行のときと、その翌年の貧乏ツアーのとき、さらに出張で一度と、計三度、立ち寄った程度でも我がことのように衝撃的だったのだから、パリ市民、フランス国民には、さぞ辛い出来事だろう。日本で言えば、金閣寺が焼け落ちるほどの(と、三島由紀夫の小説を思い出して)、あるいは清水寺じゃないかと、知人は口々に言ったものだが、その宗教性…と言っても日本人には正確には理解し辛いだろうから、国を象徴する、精神的な拠り所であると言う意味で思いを巡らせれば、伊勢神宮が火災に遭うほどの衝撃ではなかろうか。
YouTubeのチャンネルでも生中継され、アメリカでそのライブ動画を表示すると、その下に9・11同時多発テロについてのWikipediaが表示され、物議を醸したそうだ。YouTubeのアルゴリズムは、炎上する尖塔の映像が、あのときのツインタワーに類似していると認識してしまったようだが、実は不謹慎にも、私も、あのときの・・・あのとき私は西海岸に出張中で、朝、寝惚け眼でCNNを見て、まるで映画の1シーンのような現実感覚のなさに、しばし事態を認識できなかった、あの映像がダブって見えた。私たちの世代のトラウマだろう。ノートルダム大聖堂が火災に遭うという、あってはならない衝撃と、テロ攻撃であるかのような衝撃が重なって、恐怖心がいやがうえにも増幅された。
1163年に着工され1345年に完成したというから、鎌倉時代がほぼすっぽり収まる時期だ。その後、さしたる火災に見舞われることなく、皇帝ナポレオンが戴冠式を行い、二度の戦火をくぐり抜け、1991年にユネスコの世界文化遺産に登録された。報道によると既に国内外から寄付金として総額10億ユーロ(約1200億円)が集まり、週末の「黄色いベスト」のデモでは、「国内の貧困にも目を向けろ」と(主に富裕層に対して)抗議する声があがったというが、残念ながら次元が違う話だ。世界中の人々を惹きつけてやまない、人類に共有されるべき歴史的・宗教的遺産だからこそ、安倍首相をはじめとする各国首脳だけでなく、天皇陛下までもがマクロン大統領あてに(海外の文化財破損に関して発出されるのは珍しいとされる)お見舞いのメッセージを送られた。日本では2020年の東京五輪に浮かれて、その先のことなど眼中にないが、2024年はパリ五輪である。専門家によれば修復に数十年かかると言われるところを、無理を承知で、願わくはそのときその雄姿を拝めんことを・・・
ゴシック建築の本家本元、その荘厳な佇まいには、年間1300万人が訪れると言われる。私も豪勢な新婚旅行のときと、その翌年の貧乏ツアーのとき、さらに出張で一度と、計三度、立ち寄った程度でも我がことのように衝撃的だったのだから、パリ市民、フランス国民には、さぞ辛い出来事だろう。日本で言えば、金閣寺が焼け落ちるほどの(と、三島由紀夫の小説を思い出して)、あるいは清水寺じゃないかと、知人は口々に言ったものだが、その宗教性…と言っても日本人には正確には理解し辛いだろうから、国を象徴する、精神的な拠り所であると言う意味で思いを巡らせれば、伊勢神宮が火災に遭うほどの衝撃ではなかろうか。
YouTubeのチャンネルでも生中継され、アメリカでそのライブ動画を表示すると、その下に9・11同時多発テロについてのWikipediaが表示され、物議を醸したそうだ。YouTubeのアルゴリズムは、炎上する尖塔の映像が、あのときのツインタワーに類似していると認識してしまったようだが、実は不謹慎にも、私も、あのときの・・・あのとき私は西海岸に出張中で、朝、寝惚け眼でCNNを見て、まるで映画の1シーンのような現実感覚のなさに、しばし事態を認識できなかった、あの映像がダブって見えた。私たちの世代のトラウマだろう。ノートルダム大聖堂が火災に遭うという、あってはならない衝撃と、テロ攻撃であるかのような衝撃が重なって、恐怖心がいやがうえにも増幅された。
1163年に着工され1345年に完成したというから、鎌倉時代がほぼすっぽり収まる時期だ。その後、さしたる火災に見舞われることなく、皇帝ナポレオンが戴冠式を行い、二度の戦火をくぐり抜け、1991年にユネスコの世界文化遺産に登録された。報道によると既に国内外から寄付金として総額10億ユーロ(約1200億円)が集まり、週末の「黄色いベスト」のデモでは、「国内の貧困にも目を向けろ」と(主に富裕層に対して)抗議する声があがったというが、残念ながら次元が違う話だ。世界中の人々を惹きつけてやまない、人類に共有されるべき歴史的・宗教的遺産だからこそ、安倍首相をはじめとする各国首脳だけでなく、天皇陛下までもがマクロン大統領あてに(海外の文化財破損に関して発出されるのは珍しいとされる)お見舞いのメッセージを送られた。日本では2020年の東京五輪に浮かれて、その先のことなど眼中にないが、2024年はパリ五輪である。専門家によれば修復に数十年かかると言われるところを、無理を承知で、願わくはそのときその雄姿を拝めんことを・・・