風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

久しぶりの香港

2011-02-27 14:03:53 | 永遠の旅人
 香港は、一度、遊びで訪れたことがあるだけで、22年前のことです。当時は中国への返還などまだ先の話で、ロンドン風の二階建バスがあるかと思えば、タクシーには「的士」の文字があって、ヨーロッパとアジアが混ぜこぜの、不思議な活力がある街という印象でした。現地に駐在している人の話によると、既に中国返還後13年が経過し、中国語がやや幅を利かせつつあるようですが、大学は完全に英語で教育されるようですから、コスモポリタンなところは健在のようです。
 こうした性格は、台湾と比べると、その違いが明瞭で、香港においては日本語で話しかける気安さは少なく、長くイギリス統治下に置かれ、フリー・ポートで栄えた街として、心情的にヨーロッパや世界に対するアンテナが高いようです。それはホテルの部屋で見るテレビ番組に表れていて(勿論、一般家庭で見るチャネルとは違うでしょうが)、台湾では、地元の番組以外では、ニュース系はNHKとCNN、自然・社会科学系のドキュメンタリー番組はナショナル・ジオグラフィックやディスカバリー・チャネル、ドラマや映画はHBOやCinemax、スポーツはESPNなど、殆どアメリカ一辺倒のチャネル編成になっているのに対し、香港では、ニュース番組だけでもNHK(BS1、2及びワールド)やCNNだけでなく、BBC、アルジャジーラ、イギリスのスカイ・ニュースの豪・NZ版など、この地に世界各地から訪問客を受け入れているかが垣間見えます。
 しかし街の広告塔や看板を見ていると、香港では圧倒的に中国系企業が目立ち、Wikipediaによると、いくら香港基本法で言論および報道の自由や通信の秘密が規定されていても、広告主となる企業の多くは中国本土で活動する上で中央政府の意向を気にせざるを得ない状況にあることから、広告収入に依存するメディアの中には自主規制する傾向が出ているといわれています。
 夜の街の賑々しさは格別です。看板の大きさやその道に張り出した態様や色遣いは日本人の感覚に新鮮でけばけばしく、圧倒されます。私は早々に引き上げましたが、宵っ張りの香港の人々や観光客で、夜遅くまで賑わっていることでしょう。自治権の付与と本土と異なる行政・法律・経済制度の維持が認められる2047年まで、またそれ以降も、この混沌としたような賑々しさが続くと良いですね。
コメント
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