だが為に阿佐慶のアンはいるのか?_5

田口は悩んでいた。
「田口君の文章には、笑って欲しいのか、泣いて欲しいのか分からない。」
所属していた演劇部の部長に言われたことがなにやら気になっていた。
Himself、ただ輸入文学のなにやらを込めただけなのだが。
神戸出身の女性部長は口癖見たくEntertainmentという言葉を口にする。
何故だか分からない、この部長には勝たなければいけない。
彼女の強大な物語世界を納得させるものこそ、自分のために存在する。
そんなことを思っていた。
「シャーロッキアン?こういった言葉を大学に入って初めて知ったの。
だって僕は推理小説だけとっても、アガサ・クリスティの著作、
レイモンド・チャンドラーの著作も好きだし、読まなければいけないと
思って居るから。だから、シャーロック・ホームズだけにかかりっきりになれない。」
という文章に、部長はけちをつけた。
自分の悪い癖かもしれないけれども、自分の世界・知識をひけらかしすぎる事なんだなと
思ってはいた。
今度の、演劇部の演目の脚本こんぺだけれども、世界・知識を捨ててみようかなと
思った。
つづく