ブルーシャムロック

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だが為に阿佐慶のアンは居るのか_6

2014-04-04 15:55:21 | 信・どんど晴れ
「ここで佳かったのかな。」
田口は恐縮しながら、久留実のことを見た。
ここは横浜駅のどこかにある喫茶店。
田口自身、久留実の關東における家がある釜利谷駅のほうまで
足を運びたかったようだが、久留実が、女の子ばっかりで住んでいるから
駄目だと言われたのでここで落ち合った。
「今、他学の女の子ふたりと一つの部屋をルームシェアして住んでいるのよ。
男の子はsocoに入れる事はできない。」
久留実は表情を変えなかった。
「今読んでいる本が、バーネットとバージニア・ウルフに関する本を読んでいる。」
田口は答えた。
「田口君の専攻じゃないでしょ。」
久留実は皮肉っぽく答えた。
「でも、自分の物語の為には必要な存在だ。」
田口は確信を持っていた。
「でも、あなたが好きな輸入文学が目的になってはいけない。日本人に多い手段と目的が
すり替わる病気だって
うっすらながら、研究者が指摘して居るみたい。文系でも理系でも同工異曲な口調で。」
久留実がそう釘を刺すと田口は。
「うん。最近は隠蔽調査シリーズと西尾維新を読み始めた。手段と目的がすり替わる病気
というものに
気づき始めたからだよ。」
久留実はカップに残ったコーヒーを飲みながら
「私が村岡花子さんに興味を持ったの分かる?
「輸入文学ばかりよんでそれに耽溺するよりは、仲介者としての翻訳者に興味を持ったか

様々な観点から海外の文学を楽しんでみたいと思って、日本の翻訳者に関心を持ったの
赤毛のアンも一つの視点からじゃつまらない。田口君も柔軟な氣持ちで物語と向き合って
みれば?」
といった。
田口はスマホを見ていった。
「自分のpcのMailAddressに図書館に予約していた正岡子規の本が届いた。」
と答えた。
「田口君も、対立せずに日本文学しか読まない人と向き合ってみれば。」
と久留実は答える。
「もしかしたら、君が経済学部に在籍しているのは柔軟に物事を熟すためにいるのかな。

と苦笑した。
「うん。好きなことばかりはできないから。」
田口は黙って頷いたけれども、表情は暗かった。
つづく
コメント
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