ブルーシャムロック

此処はtomohiroのオリジナル小説サイトです。
小説主体ですので、小説に興味の無い
人は、退出下さい。

原田騒亂記_3

2012-11-16 05:54:24 | 信・どんど晴れ
今日は天気のいい日である。母屋と言われている場所までの大きな庭を掃き固めている
同僚との関係が氣まづくなって、私自身庭の掃除をしている。
庭師さんもいるけれども、懲罰行爲なのだろう。
庭を担当している人間が
「佳奈ちゃん、まあできる範囲でいい。跡は俺が」
とか言ってくれているけれども、まあ、表向きは原田がやっているからな。
私は、追放される身。
いつしか、甘いものを食べるには遅すぎるし、酒を飲むと怒られる時間になっていた。
今日もbar犬田布嶺で飲むかとか思っていた。
退屈そうに庭用の帚をいじっている。
小学生のガキが大仰そうな門を通って母屋の方に行く。
「あ、佳奈じゃないのか。」
ガキの方の兄が言う。
「佳奈ちゃん、仲居の仕事をやらなくてもいいの。」
弟も言う。
「私は中半追放が決まったような人間だ。ここに居るのは、やめるのを促すためだろう。」
庭に生えている灌木の掃除をしている。
「でも、ばーちゃんお前をやめさせようとは思って居ねえぜ。」
兄が言う。
「馬鹿な。50万円を盗んだことにされて、もう此處には味方が居ないぞ。数日前の
旅行ライターは、私を激しく非難し、原田を高く評価していた。」
私は子供相手に向きになっていた。
「佳奈ちゃん、この前調理室の辺土奈清作さんが、那覇か鹿児島の市内に
料理屋を開くためのお金を持っているのを見た。」
弟君がぽつりといった。
「なにぃ。」
私は目を皿のようにして驚いた
「佳奈も変なところで驚いているんだな。實はさばーちゃんだけれども、原田とかが
来てから、不機嫌そうな顔をしているんだよな。母ちゃんはいつにもまして
震えているし、親父はおろおろしている。佳奈ちゃんが原田を何とかできるんじゃないの。」
兄はこしゃまっくれたような事を言う。
私は考えて、
「お前さんのばーちゃんがそういうこと考えるか?」
と、私が言うのを遮るように
「お前の真向かいにみている誰も使っていない部屋に追廻がお金を放り込んでいるのを
みた。」
客室と母屋の間にある障子を指した。
障子も破れかかっているし、なにやらかび臭い。
調度品がいろいろ置かれている物の、ほこりをかぶっている。障子を開けて直ぐの
違い棚に、細長い京薩摩の壺というか花瓶がある。私の背の半分ぐらいかもしれない。
私はそれを覗いてみる。何か入っている。誇りの束だろうと思って居た瞬間。
どてっ・・・。なにやら太い封筒包みが出てきた。
「なんだ、これは。札束だよ。其れも新札」
私も二人の子供も、
目を丸くした。
私も兄弟も舌を巻いたのは
「商工会議所」
という言葉が記されていたことである。
「もしかしたら、これが盗まれた50万円かもしれない。」
私はつぶやく。
「もしそうだったら、佳奈がもつものじゃないな。俺らが持っている。」
兄が言う。
「このお金僕たちがもっていたら悪いかな。ばーちゃんにみせる」
弟が言う。
「そうか・・・。」
私は複雑な顔をした。此處にとどまるべきか、それともこの前騒動を起こした朝倉なんとか
みたく追放されるかどうか・・・。
「佳奈は出て行けない。」
兄がいきなり口を開いた。
「佳奈ちゃん、昔神奈川に住んでいたんだよね。」
弟の問い私は黙って頷いた。
「ところで小田原って所に行ったことがあるか?」
兄が言う。
「私は大学四年間神奈川に住んでいたけれども信州と山梨は行ったことがあるが、
さすがに小田原や箱根は行った事がない・・・。ってどうして小田原なんだよ。」
兄弟の二人を見た。
「このお金の事を黙っている代わりに小田原のことは質問しない。」
兄弟は答えた。
つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする