美濃和紙は、福井県の越前和紙、高知県の土佐和紙と並び「日本三大和紙」のひとつに数えられています。
1300年の歴史を持つ美濃和紙。
長良川・板取川の美しい水に育まれて受け継いできた、柔らかく、繊細でありながら強靭で、美しい美濃手すき和紙。
主な原料は、用途に合わせて楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)が使われます。
伝統の技術は長い歴史の中で進化を遂げ、多くの用途に対応した多様な和紙が生産されています。
美濃手すき和紙は、日本の伝統的な生活スタイルや、現代の生活の様々なシーンで使用され、また、世界の文化財修復の現場でも活躍しています。
美濃和紙がつくられる岐阜県は提灯や灯篭、和傘の一大産地としても有名。
提灯や灯篭は雨風にさらされるため、用いられる紙には灯火を守れるだけの粘り強さと、灯りを通せるような薄いものがよく、また、和傘の紙は雨風に強いことはもちろん、すぼめたり広げたりされるため丈夫さが求められます。
そうした機能を兼ね備えた和紙として、美濃和紙は古くから提灯や灯篭、和傘に用いられ、地場の産業を支えてきました。
美濃の手すき和紙は「美濃和紙」として昭和60年(1985年)に国の伝統的工芸品に指定されています。
<美濃和紙の里会館>
1300年以上の歴史と伝統を誇る美濃和紙を見て、触れて、体験できる施設です。美濃和紙の歴史や原料、美濃和紙ができるまでの全てを知ることができ、紙すき体験も行っています。
美濃和紙の歴史や技術、現代における和紙の展開と未来の可能性を紹介する常設展示室のほか、紙をテーマとしたユニークな企画展も行っています。
8月3日訪れました。
<第1、第2展示室>
和紙の歴史や紙すきの技術、全国の和紙の産地を紹介し、又多彩な形態をとって生まれ変わる和紙、その奥の深さと幅広さ、未来への可能性を紹介しています。
(写真はホームページより)
工程
「原料」
美濃和紙の原料には、楮、三椏、雁皮などがあります。
楮(こうぞ)・・・障子紙、便箋、封筒
三椏(みつまた)・・・お札など
雁皮(がんぴ)・・・あぶらとり紙など
「剥皮(はくひ)」
楮の木の皮をむいて白い皮にします。
「さらし」
原料を水に浸す事によって、水に溶けやすい不純物「あく」を除き原料を柔らかくします。
「煮熟(しゃじゅく)」
楮の繊維だけを取り出すために、晒された楮を炭酸ソーダを入れた大釜で2時間ほど煮ます。
「ちりとり」
まだ原料に残っている黒皮などのチリ、変色した部分などを作業で取り除いていきます。
「叩解(こうかい)」
ちりを取り終わった原料を、石の板の上に置き、木槌で叩いてほぐします。
現在では、この作業は『ビーター』という機械で行われることも多くなりました。
「紙すき」
原料と『ねべし』と呼ばれるトロロアオイの根から抽出した液を、漉舟(すきぶね)に張った水の中に入れてよく混ぜ合わせます。
次に、簀桁(すけた)という道具を使って漉舟(すきぶね)の中の液をすくい、揺ります。
「圧搾(あっさく)」
すき上げた紙に圧力をかけて水分を搾ります。1日間、時間をかけながら徐々に強く絞っていきます。
「乾燥」
一枚ずつはがした紙を特製の刷毛を使って板に貼り付け、天日で乾かします。
今では、中にお湯を循環させる金属製乾燥機に貼り付けて乾かすこともあります。
和傘や、和紙で作られたウエデイングドレス等、ユニークな作品も見られます。
部屋には上がることも出来ます。
(写真はホームページより)
ワークショップでは、紙すきの実演、体験ができます。自分で漉いた和紙にオリジナルの模様を付けることもできます。
<企画展示室では>
Dr.コトー、美濃和紙にすかれる。『Dr.コトー診療所』©山田貴敏原画展 開催中!
主人公Dr.コトーこと五島健助が、離島を舞台に、医療をテーマとした名作『Dr.コトー診療所』。
美濃青年会議所創立60周年の記念事業の一つとして、美濃市との共催で、原作者の山田貴敏先生の出身地でもある岐阜県の伝統的工芸品「美濃和紙」と「Dr.コトー」がコラボ。
今回の企画展の為に描かれた美濃手漉き和紙作品「Dr.コトー診療所×美濃和紙」を始め、コミックスのカルテ1、2をまるっと読める原画や迫力満点の名シーンパネル、貴重なカラー原画などが展示されています。
<ショップ>
(写真はホームページより)
建物から外を見ると
和紙に関するクイズ、3問正解で頂きました。
美濃和紙あかりアート展
「うだつの上がる町並み」として知られる美濃市の一帯で、美濃和紙の再生と町の活性化を目指して1994年(平成4年)から毎年10月に開催されているアート展。美濃和紙を取り入れたあかりのアート作品が全国から一般公募で寄せられ、町中を優しく彩ります。
機会があれば、「うだつの上がる町並み」を歩いてみたいと思います。
説明文は、美濃手すき和紙協同組合、美濃和紙の里会館ホームページより