保健福祉の現場から

感じるままに

フレイル対策とガバナンス改革

2017年09月25日 | Weblog
朝日新聞「高齢者の活力低下「フレイル」とは」(http://www.asahi.com/articles/SDI201709223890.html?iref=com_apitop)。<以下引用>
<「フレイル」という言葉をお聞きになったことがありますか? 英語ではfrailty(フレイルティー)ですが、日本語では縮めてフレイルと呼ばれることが多いです。Metabolic syndrome(メタボリック症候群)を「メタボ」と呼ぶようなものでしょうか。直訳すると「虚弱」とか「弱さ」とか言う意味ですが、医学的には高齢者の筋力や活動が低下している状態を指します。 いくつか定義がありますが、よく採用されている定義では、1.意図しない体重低下、2.握力低下、3.易疲労感、4.歩行速度低下、5.身体活動性低下の5項目のうち、3項目以上に該当するとフレイルとみなされます。アピタルでも最近、解説記事が掲載されました。「高齢で活力衰える『フレイル』、国内250万人が該当か」http://www.asahi.com/articles/ASK8T7F6MK8TULZU00Y.html 「高齢者で活力が衰えるなんて当たり前だろう」「ただの老化なのでは」とお考えの読者もいらっしゃるでしょう。そのお考えも必ずしも間違っていないのですが、同じ年齢の高齢者でも、活力があって元気な人とそうでない人がいます。医学的な立場からは区別する必要がありますし、区別する以上は何か名前をつけないといけないのです。 医療者の間ではフレイルという言葉は普通に使われるようになりつつあります。たとえば、高齢者の高血圧ガイドラインではフレイルという言葉がたくさん出てきます。医療を行う上での臨床的な疑問を「クリニカル・クエスチョン」と呼びますが、フレイルに関するクリニカル・クエスチョンはこんな感じです。・高齢者高血圧に対する降圧薬治療は,高齢者のフレイルへの移行に影響を与えるか? ・フレイルの高齢者高血圧の降圧薬開始基準となる血圧値と到達目標の血圧値はいくつか? 高血圧治療は脳心血管病の予防を通じてフレイルへの移行を抑制する一方で、新しく降圧薬を開始すると転倒しやすくなり骨折してフレイルへ移行する可能性があります。また、降圧治療の効果を検証した大規模臨床試験は身体機能が著しく衰えた患者さんは対象となっておらず、降圧薬を開始する血圧や目標値は個別に判断することが推奨されています。これまでも臨床の現場では転倒しやすそうな人に降圧薬を処方するときには注意するとか、寝たきりの人には降圧薬を減らすとかはしていました。さらに加えてフレイルという概念を医療者が持つことで、より注意が払われるようになります。また、フレイルの定義が定まっていれば、客観的な評価ができ共通の言葉で研究成果を解釈できますし、ガイドラインにも記載できます。概念に名前をつけることで対応が改善し理解が進むというわけです。>
 
成立(https://www.cbnews.jp/news/entry/20170526150611)した「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/193-06.pdf)p2「全市町村が保険者機能を発揮して、自立支援・重度化防止に取り組むよう、① データに基づく課題分析と対応(取組内容・目標の介護保険事業(支援)計画への記載)② 適切な指標による実績評価 ③ インセンティブの付与 を法律により制度化。 ※主な法律事項 ・介護保険事業(支援)計画の策定に当たり、国から提供されたデータの分析の実施 ・介護保険事業(支援)計画に介護予防・重度化防止等の取組内容及び目標を記載 ・都道府県による市町村支援の規定の整備 ・介護保険事業(支援)計画に位置付けられた目標の達成状況についての公表及び報告 ・財政的インセンティブの付与の規定の整備」とある。パブコメ「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針の全部を改正する件」(http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000163468)がされているが、もっとフレイル対策を前面に出すべきと感じる。例えば、「介護保険事業計画策定に向けた各種調査等に関する説明会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=384533)の「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138618.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000138620.pdf)は今回で3回目であるが、全国の市町村・都道府県ではどれほど活用されているであろうか。分析データは健康増進部門や地域福祉部門と共有されているであろうか。地域包括ケア「見える化」システム(http://mieruka.mhlw.go.jp/)の活用に際して、「地域包括ケア「見える化」システム等を活用した地域分析の手引き」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000169786.html)はしっかりマスターしておきたい。一方で、後期高齢者医療の保険者インセンティブ(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000163143.pdf)の固有指標「高齢者の特性(フレイルなど)を踏まえた保健事業の実施状況」がある。「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=369143)の「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン 暫定版」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000152498.pdf)は介護保険部門と共有されているであろうか。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の資料「予防・健康・医療・介護のガバナンス改革」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2017/0412/shiryo_04.pdf)p3「地域における『予防・健康・医療・介護』は、それぞれ密接に関連するが、制度がバラバラ。都道府県の役割は限定的。」には全く同感であるが、今のままでよいはずがない。地域においては「社会医学系専門医」(http://shakai-senmon-i.umin.jp/)である保健所長と「統括保健師」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000052444_1.pdf)の果たす役割が大きいように感じるのであるが...。
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