保健福祉の現場から

感じるままに

特定健診・保健指導と県外保険者

2008年07月23日 | Weblog
昨日、某事業所の衛生委員会に出席した。長時間労働者への面接指導(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/roudou/an-eihou/060401.html)も話題になったが、やはり、話題の中心は、今年度からの特定健診・保健指導制度である。この事業所は政管健保とのことであるが、今一理解されていないように感じられた。労働安全衛生法に基づく定期健康診断項目には、特定健診の検査項目が含まれ、事業所健診が優先されるが、保険者による特定保健指導が理解されていないようである。また、それ以上に理解されていないのは、保険者による被扶養者に対する健診である。パンフレット(http://www.sia.go.jp/~nagano/tokuteikensin-kouhou.pdf)が出ており、健診を受けるには、①特定健診受診券申請書を事業所あて一括送付(被保険者経由で被扶養者に)、②受診券申請書の署名欄に署名し事業所へ提出(申請書をとりまとめて、社会保険健康事業財団支部あて送付)、③受診券を作成し事業所あて一括送付(被保険者経由で被扶養者に配付)、④最寄りの健診機関で特定健診を受診(受診券・保険証を携行)となる。これは、職場の衛生委員会には直接関係はないが、事業所において「案内・取りまとめ」が円滑にできるか、気になるところかもしれない。すでに、各地で市町村国保の健診が始まっており、一刻も早く、被扶養者の方々に健診の受診券が届けられる必要がある。しかし、一方で、医療機関側からはこんな声が出ている。「健診受診者が様々な医療保険者の受診券を持参され、特に県外保険者の場合には契約してあるかどうか、確認が大変。」という。保険者によって、様々な契約がされており、結構複雑なようである。一部の保険者では、コールセンターを設け、加入者等からの問い合わせに応じる体制をとるところが出てきているようである。そういえば、経済財政諮問会議では「生活直結型産業」として、民間企業の「健康コールセンター」設置解禁が要望(http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0423/item1.pdf)されている。しかし、今後、例えば、ネットで簡単に契約確認できるようにするなど、もっと効率的な対応ができないものであろうか。一応、集合契約の取組に関する支援HP(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info03f.html)もみられるが、ここは、各都道府県の保険者協議会を束ねる「保険者協議会中央連絡会」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1011-6e.pdf)の役割を期待したいところかもしれない。都道府県単位では、県外保険者との調整は限界があると思われるからである。「特定健康診査機関・特定保健指導機関データベース」(http://kenshin-db.niph.go.jp/kenshin/)や「特定健診・特定保健指導等機関情報」(http://202.229.151.1/)のように、「医療保険者情報データベース」のようなものがあってもよいのではないか、と感じないでもないところである。ところで、「県内のメタボ保健指導 登録は2医療機関のみ」(http://www.kitanippon.co.jp/contents/knpnews/20080723/13509.html)の記事が出ている。被扶養者の保健指導の受け皿について、①医師・保健師・管理栄養士のいずれかによる初回個別面接20分以上、②積極的支援では180以上のポイント制、③電子データ管理などを鑑みれば、一般の医療機関では容易ではないかもしれない。被扶養者の保健指導の受け皿確保がかなり厳しい場合は、健診機関や市町村保健センター等への受け入れも図るべきかもしれない。面接スタッフが確保されれば、スポーツ施設等も考えられるかもしれない。しかし、その前に、もっと肝心なことがある。「円滑な実施に向けた手引き」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/info03d-1.pdf)p26の図に示すように、特定保健指導は健診結果に基づく「動機付け支援」や「積極的支援」相当と階層化された方全員に対して行われるわけではなく、「特定保健指導対象者リスト」の中から、特定保健指導実施者を「抽出」して行われる。特定保健指導の実施主体である各医療保険者では、その「抽出」をどのように行うか、果たして決められているであろうか。また、p99の図に示す「特定保健指導利用券」における「窓口での自己負担」の負担額(率)又は保険者負担上限額が決められているであろうか。それらの特定保健指導の「抽出」や「自己負担」について、被扶養者の方々に周知されているであろうか。
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