保健福祉の現場から

感じるままに

人間ドックのスクラップ

2007年03月03日 | Weblog
2月26日発行の「保健衛生ニュース」で気になる記事をみた。先月の全国市町村保健活動専門研修において、厚生労働省医療費適正化対策推進室の補佐から、「被用者保険では人間ドックをスクラップして被扶養者健診にまわすといったように、皆健診の形で進めていきたい」との意向が示されている。一応、健康保険法154条(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/T11/T11HO070.html)で「健保組合と政管健保の被扶養者健診については一部国庫による補助」(対象部分の3分の1相当を想定)が行われる見込みとされるが、医療保険者にとっては、被扶養者に対する「特定健診」の費用は新たな負担である。また、被保険者及び被扶養者に対する「特定保健指導」の費用も新たに加わることになる。国の「特定健診等に関するQ&A」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/pdf/tdfk-01j.pdf)の問20では、原則保険料財源であることが示されており、相当の負担になるかもしれない。その場合、その費用を捻出するためには保険料率を上げざるを得ないかもしれないが、まず、既存の福利厚生事業のスクラップが考えられるであろう。その筆頭が、費用の高い「人間ドック」ということなのかもしれない。人間ドックには当然「がん検診」が含まれているであろう。国資料(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/11/dl/s1120-9c04.pdf)に記されているように、がん検診は企業が従業員に対する福利厚生の一環として、また、健康保険組合等が独自の保健事業としてがん検診を実施している場合や受診の補助を行っている場合がある。今後、国の指導で、被用者保険の人間ドックのスクラップが推進されれば、「がん検診」の行方にも少なからず影響があるように感じるところである。ところで、「特定保健指導」の単価(動機づけ支援、積極的支援)は、果たしてどれくらいになるのであろうか。今、最も注目したい事項かもしれない。
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