来年4月に日本テレビにアナウンサーとして入社する内定を受けていた女子大生が、東京・銀座のクラブでアルバイトをしていたことを理由に内定を取り消された。安倍内閣は「女性の活躍」を掲げているのに、逆行する事件である。政府は全国の自治体に「男女共同参画事業」を進めるようにと指示しているが、今のところ男女共同参画事業を進める団体から、日本テレビに抗議の声が上がったと聞かない。全国のクラブで働く女性からも「職業に対する差別だ」という怒りの声も聞かない。
クラブで働いたことが取り消しの理由なら、明らかに「職業の貴賎」を意識しているし、女性に対する蔑視でもある。わが市の女性団体から日本テレビに抗議したいと提案があれば、男女共同参画事業にかかわる者として賛同するつもりだ。差別の撤廃、同一労働を行いながら同一賃金でない現実、短時間労働の保障、男性女性・未婚既婚・年齢や階層を問わずみんなが協業しやすい社会にしていくことが男女共同参画事業がめざすものだと思う。具体的な事例に抗議の声を上げないで何をするのだろう。
今日も政治家の政治資金の使い方が井戸掘り仲間の話題になっていて、「こんな連中ばかりいるから、官僚の言いなりになってしまう」と言う。麻生副総理の資金管理団体の収支報告書には公開が義務付けられている1万円以上の「会合費」が1年に217件ある。このうち最も多く支払ったのは会員制サロンで、8回で800万円である。どういう会合なのかと思ってしまう。政治家は政策の研究もせずでたらめに金を使い、官僚は予算を使い切ってさらに翌年は上積みすることを目指す。
こんな国にしてしまっていいのか。政治家や官僚の不正をただし、社会のひずみやよどみに目をむけるべきマスコミが正義感や独自性をなくしてしまっている。大学に国家権力が入り込み、自治をないがしろにしている。企業も研究機関も目先の利益ばかりを追っている。そんな愚痴話で花が咲いていたら、「年寄りは先のことは考えず、今日一日を楽しく生きればいい」と物知りの先輩が結論を下す。なるほど、そうかも知れない。