明日が文化の日ということもあって、各地で文化祭や芸能発表会が行なわれている。私が所属していた朗読クラブも、芸能発表会で名古屋弁による昔話を行なうという。どんな舞台になるのか楽しみに思って出かけてきた。感想から言えば、どうして名古屋弁でなければならなかったのだろう。昔話は欲深だったり、間抜けだったりで、笑わせてくれるけれど、最後にちょっと考えさせる。ところが名古屋弁に聞き慣れない私は残念ながら笑いが出てこない。
それにしても、久しぶりに芸能発表会を見て、様変わりしていたことに驚いた。以前の発表会は民謡や詩吟が中心で、剣舞や日舞もあった。全プログラムを見ていないが、きっとそうした演目もあったはずだ。健康体操クラブの発表は、昔はラジオ体操のようなものだったが、今日はAKB48の曲に合わせての踊りだった。60代・70代の女性たちが、ミニスカート姿でAKBになりきったように踊る。大勢の観客を前に、ライトを浴びて踊ることに充分満足した様子だった。
客席では舞台の踊り手の親族がカメラで録画している。幼い孫娘は「おばあちゃん」と手を振っている。健康体操クラブはスポーツ団体とばかり思っていたが、文化クラブだったのだ。さらに華やかだったのが社交ダンスクラブで、男性は黒の上下にネクタイを締め、女性は白、赤、それに黒と黄色のドレスで、ワルツやタンゴそしてサンバを踊った。うっとりと見惚れてしまうほどではなかったけれど、皆さん高齢なのに堂々としていた。
そういえば、中学校の文化祭を見て来た人が、「私たちの頃とは全く違うわね」と言っていた。個人の特質を前面に打ち出す演目が多かったそうだ。男の子たちがまるでEXILEのように踊るし、女の子たちもAKBのように歌って踊る。それが余りにも上手だったので思わず拍手してしまったと言う。ただし、服装は体操服に限られていたようで、学校側の苦悩が分かる。昔なら、不良のすることだと一蹴されていただろう。それが舞台の目玉になっているのだから、時代は大きく変わったといえる。
文化が一部の人たちのものではなく、多くの人々が自ら表現できることは素晴しいと思う。こうして誰でもが発表者となり、誰でもが文化を味合うとなれば、当然その中身も精査されよりよいものが生まれてくるはずだ。明日は文化の日、天候が良いようなので私はせっせとチューリップの土作りに励むとしよう。