蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

ブサイクも個性

2017-09-03 | 無題
2008年放映の和田アキ子が司会をする、美人のビフォーアフターのような番組をスマホ、ユーチューブで見た。
ひどい、、、の一言。
番組の意図は、いたって低俗。
まあ、視聴率稼ぎが目的なので、そういう意味では、9年も経っているのに、ユーチューブの上のあたりに出てくるところを見ると、話題性はあるのだろう。

で、一般から募集した、自分を美しく変身したい依頼者を、美のプロたちが美人に激変させる。
ヘアアーティスト、メークアップアーティスト、スタイリスト、エスティシャン、美容整形外科医らが、腕を振るう。

依頼者たちは、自分の醜い容姿のせいで、小さい時から凄惨なイジメを受け、今もトラウマから抜け出せず、根暗に生きている人々。(という設定)
出っ歯や目が小さい、なんていうのは、あっさり激変。
難易度が高かったのは、顔が左右ズレている人。
顎の骨を一旦外して、かなりの大手術。
交通事故にでも遭っての手術ならいざ知らず、健康な体に、ここまで大胆にメスを入れるのは、抵抗がある(わたしは、古い?)
しらす干しのような目は、上下左右を切り開き、面積は4倍にはなっている?
激変アフターの顔は、逃亡している犯罪者が整形して、別地で別人として別の人生を送っているような印象。


醜い顔のせいで、恋愛はもちろん、就職もままならないと嘆く依頼者たち。
真剣に悩んでいる依頼者(の顔)を見て、涙を流すゲスト出演者もいる。
和田アキ子は、憐れんで涙が出るのではなく、30歳近くにもなって真剣に悩んでいる純真さに心打たれたと言っていたが。
中には、ヘアアーティストの男性は、あまりにもブサイクすぎて泣けてきたという人もいた。

ヘアも、メークアップも、肌も、ファッションも激変には、さほど大した威力はなく、大改造には、美容整形がダントツと感じた。

心のトラウマを治すには、トラウマに陥った原因である容姿を直し、自信を持ちたい、とのことだろうけれど。
外見ばかりにこだわるのは、番組の意図として、視聴率稼ぎには一番手っ取り早いのはよくわかるが、、、。
(現にわたしも、惹きつけられて、ユーチューブを見ているし)

内面、中身の能力を高める方向は、アプローチされていない。
未成年などの、人としてまだ未完成の人が見て、勘違いしては教育上、良くないと感じる。
視聴率稼ぎの番組の意図をわかって見ているならともかく、まともに真に受けたら大変である。
(姥ごころか)
就職も顔で採用するような仕事、職種を選ばないこと、恋愛も外見ばかりにこだわる人を選ばないこと、そのためには、外見の努力もさることながら、内面を(精神力だけでなく、能力、実務も)磨くべき、というメッセージなんか、視聴率にはなんの足しにもならず、全く視聴者のこころに響かないことだろう。
志しの高い、頑張り屋さんはともかく、普通の人には当たり前過ぎて、皆んな、やろうとしても出来ないし、学校の先生の、耳が痛い、お堅いお話など聞き飽きている。
てっとり早い方法で楽しもうという一般視聴者の興味を引くように番組が出来ている。

そもそも人の容姿を見て涙ぐむなんて、失礼にも程がある。
美容整形外科の手術をした後の顔は、ひな形の整形顔になり、個性がなく、メイクすると15〜20歳は老けて見えた。
もともと若い人が志願者の場合は、整形すると、世の中を知り尽くした、得体の知れない熟女のような顔になる。
歳とった人が、アンチエイジングで整形した場合と逆。

そもそも、他人にとってはブサイクと思われようが、自分にとっては、世界に一つ、唯一無二の、愛着ある、誇りある顔を機械的に判断されメスを入れられるなんて、もっての他だ。
「これは、ひどいですねえ」なんて、よく言ったものだ。
「ひどい」の判断基準は何か?

誰もが憧れる、整形美女になったところで、今までの自分を消去し、上書き、更新してしまうのは、よほど自分を全面否定してきたからだろう。
というか、全面否定した後、リセットしてやり直したいという、過去のいきさつからすると、わからないでもないが、変身した後の性格が心配である。
傲慢、奢りなど、マイナス面が付随してきそうだ。

若い頃は外見にとらわれるのは、よくわかる。わたしもそうだった。
が、自分の顔は自分で責任を持つべきだ。
ブサイクでも、それは強烈な個性、いいと思うのだが、だめなのだろうか。

わたしの年齢になると、見かけ倒しの人がいて、がっかりする。
いくら見た目が良くても、なんの面白味もない人がいる。
見た目が良くて、中身が悪い人もいる。
(見た目が悪くて中身が悪い人は、中身が悪い時点でNG)
逆に、産まれつきの容姿は良くなくても、清潔にして、オシャレしたり、素敵な表情や、楽しい幅広い話題を提供してくれる人のほうが、ずっと魅力的である。

わたしの年齢にならないと、こういう境地にはならないのかも知れない。

にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へにほんブログ