常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

河童

2016年08月02日 | 日記


夏は怖い妖怪談議の季節である。江戸時代、巷の奇談を集めた『耳袋』という読み物がある。そのなかに、「河童」の話が出てくる。天明元年(1781)の8月のこと、仙台河岸(隅田川の東岸)の仙台侯の蔵屋敷で、河童を打ち殺して塩漬けにしているのを見た人の話である。その人は、河童の塩漬けを絵にして持ってきた。ことの次第は、

「その屋敷で、子どもがわけもなく水死した。不思議に思った屋敷のものが、堀の水を抜いて干してみたところ、泥を潜って逃げ回る敏捷な生き物がいた。そのすばしっこさに手を焼いたが、やっとのことで鉄砲で撃ち殺した」ということであった。その絵を見たさる知識人が、「昔、河童の絵を見たことがありますが、これはそれと少しも違いがないと語った。」

このことから、子どもが水死した原因はこの河童にあると、思われたらしい。

孫悟空でお馴染みの『西遊記』には、三蔵法師のお供する妖怪に沙悟浄というのがいる。これは河の神で、背が低く、口吻がとがり、甲羅を背負って、頭には皿をのせ、青黒く、陰気な形相をしていた。河童は、この沙悟浄がモデルになったと考えられている。河の神は、中国では河伯と呼ばれ、カハに促音をつけてカッパと呼ぶようになったという説がある。

芥川龍之介の『河童』は、ある精神病患者が、上高地の温泉宿の近くにある河童橋のあたりで、河童に遭遇し、追いかけまわしているうちに、穴に落ち、河童の国へ行き、その国の芸術や文化に触れる話である。
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