ベランダで育てたミニトマトが色づき、今日初めて収穫した。大小あわせて九つ、赤い色が輝いている。「仏壇にあげて。」と妻が言う。燈明を点じ、線香を焚いて器のトマトを供える。生きていた時代は、みんなトマトが好きだった。自分はトマトを見ると、子どもの頃の記憶が浮かぶ。友達の家に遊びに行って木で熟したトマトを捥ぐ場面だ。トマトの特融の香りが、もぎたてのトマトから立っていた。ドキドキしながら捥いだことを。この年になってもあざやかに思いだす。トマトには貴重なもの、もったいないものという思いがいつまでも残っている。
イタリア料理の本を開くと、イタリア人は実にトマトを食べる。ミニトマトは「ポモノドール」と呼ばれて、料理によく使われる。日本では生食用が主だが、イタリアでは生食用と料理用があり、使い分けている。因みにトマト缶も料理用に重宝されている。この缶詰を常備しておけば、いつでもトマト料理が
食べられるわけだ。トマトと相性のいいものにバジルとニンニクがある。スパゲッティのトマトソースにはどちらも欠かすことはできない。我が家ではトマトを入れた野菜サラダに、ベランダで育てているバジルの葉を加え、ニンニクは冷凍にして常備している。
イタリアンの本にトマトソースのレシピがあるので紹介しておく。材料「トマト水煮缶1と1/2、オリーブオイル大匙2、塩小匙1、ニンニク1/2片、バジル少々」①トマト缶をボールにあけ、固い種やヘタは取り出す②ニンニクは薄切りにする③鍋にオりーブオイルとニンニクを入れて火にかける。ニンニクが色づき始めたら取り出す④トマトを加え、ヘラでザクザクつぶし、塩を入れ20分煮込む⑤火を止める5分前にバジルを手でちぎってくわえる
これで本場イタリアのトマトソースの完成。茹で上げたパスタにからめるとスパゲッティが完成する。ゲランだで生ったトマトも加えれば、自家製のものを食べる楽しみが増える。