常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

久米仙人

2016年08月03日 | 日記


暑気を払うのに、怪談、奇談はもってこいだ。子どものころ、法力を身につけた仙人の話を聞くのを好んだ。志貴山に住む僧が、鉢を飛ばしてその鉢に施しを乗せてもらっていた。ある長者の倉に、この鉢が入ってきた。長者は、忌々しい鉢だと、施しも乗せず追い出して、倉の戸を閉め切った。ところが、倉がゆらゆらと動き出すと、信貴山に向かって飛んでいった。長者は驚いて信貴山の僧へ、「どうか倉をお返し下さい」と頼んだ。僧は、迷って我がもとへきたものを返すわけにはいかぬ。だが中身だけは返してやろう。」と言って、鉢に故米一俵を乗せて飛ばすと、残りの俵もその後を追って帰っていった。

久米仙人は吉野の龍門寺で、空を飛ぶ仙術を会得した一人である。ある日久米の仙人が空を飛んでいると、吉野川の上流で若い女が洗濯をしているのが目に入った。仙人がその女の白いふらはぎを見た途端に、仙術が解け、目がくらんで川に落ちてしまった。その時から、久米仙人はただの人になってしまい、この女と結婚した。やがて東大寺の造営が始まり、仙人も人夫としてかり出された。工事の奉行は、彼がもと仙人であったという噂を聞いていたので、「吉野の山の材木をお前の通力で、ここまで運んで見よ」と申し付けた。

仙人は、鉤招の印を結んで、山の材木をたちまちのうちに飛ばして運んだ。これを見ていた天皇は驚き、仙人を尊び敬って、田30町を与えた。仙人はここへ久米寺を立てた。

子どものころにこんな話を聞いて、若い女の足を見て神通力を失って落ちたということが可笑しくもあり、なになドキドキする不思議な感じを覚えもした。
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