朝の気温が10℃前後になって、公園のカエデが一部だが色づき始めた。昨日、山の仲間が、月山に登ってきたが、その情報では上の方では紅葉が始まっている。これからの数週間の山行は、紅葉前線との競争になる。見ごろの紅葉は、花と同じで短い命だ。本当に美しい紅葉を、この秋何度見られるか、楽しみでもあり不安でもある。北海道の山では、紅葉した木々の上に冠雪した美しい映像が、ネットに流れている。
黄葉と紅葉は何れももみぢと読むが、中国の文化を積極的に取り入れていた奈良時代は、葉が黄色になる黄葉が珍重された。当時の貴族が桜よりも梅を慕ったのと同様である。中国では黄が、皇帝が使う聖なる色で、日本でも庭の植木に黄色く色づく樹を植えるのが流行した。紅いカエデが、紅葉の主流となるのは、遣唐使が廃止された平安朝からである。唐の政情が不安定となって、日本独自の文化へと移行し日本人の感性が重んじられるようになった。時を同じくして、梅にかわって桜が日本の花として見直された。
せばまりてせばまりて濃し谿紅葉 篠田悌二郎
月山の紅葉、9月26日、E・Hさん写す。