川相初音(かわいはつね)が言った。「薬(くすり)で眠(ねむ)らされてるみたいね。どうするの?」
月島(つきしま)しずくはアキに言った。「さぁ、あなたの出番(でばん)よ。お願(ねが)いね」
アキはやる気満々(まんまん)に、「任(まか)せてよ。こんなのたいしたことないわ」
アキが手をつくねにかざすと光が現(あらわ)れた。そして、つくねの身体(からだ)を少しずつ包(つつ)み込んでいく。その時、千鶴(ちづる)からテレパシーが飛(と)び込んできた。
<大変(たいへん)よ。一人、そっちへ向(む)かってるわ。銃(じゅう)を持ってるから気をつけて>
柊(ひいらぎ)あずみが冷静(れいせい)に言った。「どうするの? 早くしないと、このままじゃまずいわよ」
アキがあたふたして、「そんなのムリよ。もう少し時間をちょうだい」
しずくがアキの肩(かた)に手をやって言った。「もういいわ。このまま行きましょ。ここで騒(さわ)ぎを起こすのはよくないわ。それに、どうやら厄介(やっかい)な相手(あいて)みたいだし」
あずみが訊(き)いた。「それって、能力者(のうりょくしゃ)ってこと?」
しずくはうなずいて、「私は、最後(さいご)まで残(のこ)るわ。先生(せんせい)はつくねと飛んで。それと…」
初音はすかさず、「あたしは、ひとりで行けるけど、アキと涼は…」
水木涼(みずきりょう)が口を挟(はさ)んだ。「私も残るわよ。このまま帰るなんて――」
しずくは、「それはダメよ。私だけの方がいいわ。涼とアキは、私が飛ばすね。ちょっと危(あぶ)ない着陸(ちゃくりく)になるかもしれないけど。許(ゆる)してね」
みんなは次々(つぎつぎ)と姿(すがた)を消(け)した。最後に残ったしずくはベッドに座(すわ)り扉(とびら)を見つめた。
<つぶやき>何とかつくねを取り戻(もど)すことができそうです。でも、しずくは大丈夫(だいじょうぶ)なの?
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