みけの物語カフェ ブログ版

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1435「しずく202~光の糸」

2023-11-30 18:02:22 | ブログ連載~しずく

 水木涼(みずきりょう)が叫(さけ)んだ。「気をつけて! 見えないヤツが――」
 涼が言い終(おわ)わらないうちに、カラスと呼(よ)ばれた敵(てき)は神崎(かんざき)つくねに襲(おそ)いかかっていた。つくねは服(ふく)を切(き)られたが何とかかわし、涼に叫んだ。
「そっちへ行ったわよ!」
 涼は身構(みがま)えるが敵の姿(すがた)がまったくつかめない。突然(とつぜん)、右腕(みぎうで)が何かにつかまれてぐいっと背中(せなか)の方へひねられた。後(うしろ)に何かいる。そう思った時には、膝(ひざ)を落(お)として身動(みうご)きができなくなっていた。首筋(くびすじ)に何か冷(つめ)たいものが当(あ)たった。涼は息(いき)を呑(の)んだ。
 涼は思った。まさか、こんなにあっけなく死(し)んじゃうなんて…。まだ恋(こい)もしてないのに。こんなのってありなの? まだやりたいこといっぱいあるのに…。死にたくないよ!
 涼のなかで何かが起(お)きていた。身体(からだ)の中心(ちゅうしん)から熱(ねつ)が湧(わ)き上がってくるようだ。意識(いしき)が遠(とお)くなり、全身(ぜんしん)の力が抜(ぬ)けていく。
 そのとき、涼の背後(はいご)につくねが現れた。そして見えない敵に一撃(いちげき)をくわえた。手応(てごた)えはあった。つくねは周(まわ)りに注意(ちゅうい)を向けた。敵の姿を見失(みうしな)っていた。倒(たお)れた涼は全身を痙攣(けいれん)させている。つくねは涼を抱(だ)き起こし、彼女の頬(ほお)に手を当てて、
「涼、しっかりして…。どうしちゃったのよ。ねぇ……」
 痙攣がおさまると、涼は突然(とつぜん)目を開けて、両手(りょうて)の平(ひら)を上に向けた。すると両手から光が飛び出した。そして、まるで蜘蛛(くも)の糸(いと)のように周りに広がって行った。
<つぶやき>いったい何が起きているのでしょうか? 涼の新たな能力(ちから)が発動(はつどう)したのかも。
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