みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1169「闇の使者」

2021-12-09 17:44:18 | ブログ短編

 突然(とつぜん)、目の前に男が現れた。僕(ぼく)は驚(おどろ)いて思わず叫(さけ)んだ。「誰(だれ)だ! どうやってここに…」
 男はニヤリと笑ってささやいた。「私は闇(やみ)の使者(ししゃ)。あなたのお手伝(てつだ)いをしに来ました」
「お手伝い…? どういうことだよ。そ、そんなこと頼(たの)んでない」
「あなた、いま、復讐(ふくしゅう)したいと思いましたよね? あなたのことを振(ふ)った女に――」
「な、なに言ってるんだ。そ、そんなこと思ってないよ」
「大丈夫(だいじょうぶ)ですよ。私は、あなたの復讐に手を貸(か)そうと言ってるんです。あなたが思いを寄(よ)せていたのに、その女はあなたを無視(むし)して他(ほか)の男を好きになった。復讐しましょう」
「待ってくれ。これは、僕の片思(かたおも)いで…。彼女は、僕のことなんか…」
「そんなこと気にしなくていいんです。あなたは傷(きず)ついた。それと同じ傷をつけてやりましょう。さあ、どんな復讐をしたいですか?」
「彼女を傷つけるなんて…。僕には、そんなことできないよ」
「何を心配(しんぱい)してるんですか? あなたは、私に命令(めいれい)するだけでいいんです。どんな復讐がいいですか? 好きになった男を始末(しまつ)しましょうか。それとも、女のほうがいいですか?」
「止(や)めてくれ。そ、そんなこと望(のぞ)んでない。僕は、僕はただ……」
「分かりました。あなたが、いま思ったことを実行(じっこう)しましょう。それでいいですね?」
 僕は、うなずいてしまった。男は嬉(うれ)しそうに言った。「ようこそ、闇の世界へ――」
<つぶやき>何を思ったんだよ。このままじゃ、闇の世界へ引きずり込まれてしまうぞ。
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