ここは幻覚(げんかく)の世界(せかい)。川相初音(かわいはつね)と琴音(ことね)は苦戦(くせん)していた。巨大(きょだい)トカゲに近づくことができないのだ。トカゲの背後(はいご)に瞬間移動(しゅんかんいどう)しても、どういう訳(わけ)かすぐに攻撃(こうげき)を受けてしまう。太(ふと)いしっぽが飛(と)んで来たり、長い舌(した)がまるで矢(や)のように向かってくる。
二人は体力(たいりょく)を消耗(しょうもう)していた。それは一瞬(いっしゅん)の出来事(できごと)だった。ちょうど琴音が空中(くうちゅう)に留(とど)まっていたとき、トカゲの舌が琴音を捕(と)らえたのだ。琴音は地面(じめん)に叩(たた)き落とされた。そして舌が巻(ま)き取られていく。トカゲの口が目の前に迫(せま)ってきた。琴音はとっさに能力(ちから)を使い舌を切り落とした。そして、初音の近くへ飛んだ。
トカゲの舌はすぐに再生(さいせい)されて元通(もとどお)りになる。そして、二人に向かって突進(とっしん)してきた。初音が壁(かべ)を作って何とかくい止める。でも、初音の能力(ちから)は弱(よわ)まってきていた。あとどれだけもつか分からない。トカゲはいったん下がると、二人の周(まわ)りをゆっくり回(まわ)り始めた。このままでは、間違(まちが)いなくあのトカゲの餌(えさ)になってしまう。
その時だ。二人の前に月島(つきしま)しずくが現れて、のんきそうに声を上げた。
「これ、すごいね。こんなの初(はじ)めて見たわ。でも、可愛(かわい)い顔してるわよね」
初音が怒(おこ)ったように、「もう、なに言ってるのよ。こっちは大変(たいへん)なんだから…」
しずくは岩(いわ)の上にいるメイサに目をやると呟(つぶや)いた。「やっぱり、あなたね」
メイサは不敵(ふてき)な笑(え)みを浮(う)かべて、「これはこれは、餌が増(ふ)えちゃったわ」
<つぶやき>しずくはトカゲをやっつけられるのか? メイサとの戦いが始まるのか…。
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