１１１４「愛だけでは」

「ねぇ、あなた。知ってる？　人間(にんげん)の愛情(あいじょう)は３、４年で消(き)えちゃうんだって」
　そんなことを聞かされた夫(おっと)はドキッとした。この二人も、結婚(けっこん)して３年目だ。夫は、
「何で、そんなこと…。俺(おれ)は、君(きみ)のこと愛(あい)してるよ。この愛は、永遠(えいえん)さ」
「へぇ、そうなんだぁ。でも、あなた。他(ほか)の人にも、愛をささやいてるんじゃないの？」
「バカいうなよ。俺は、君以外(いがい)の女性には、まったく興味(きょうみ)なんてないさ」
「ほんとかなぁ？　あたしの知らないところで、何かしてたりして…」
「止(や)めてくれよ。俺が、何をしたっていうんだ？　いい加減(かげん)にしろよ」
　こんなことで動揺(どうよう)していては、夫としてどうなんだ？　妻(つま)はたたみ掛(か)けるように、
「でもねぇ…。最近(さいきん)、あたしに優(やさ)しくないよねぇ。気づかいがないっていうか…」
　こんな時は、話しをそらすのが一番だ。だが、何を話題(わだい)にすればいいのか思いつかない。そういえば、二人でゆっくりおしゃべりした記憶(きおく)がない。妻はここぞとばかり、
「夫婦(ふうふ)をつなぎ止(と)めるのって、愛情だけじゃないのかもね。あたしたちも、子供(こども)がいれば変わってくるのかなぁ。あなた、どう思う？」
「そ、そうだな。俺たちも、そろそろいいかもなぁ。俺も、がんばるよ」
「でも、何かそれも違(ちが)うかも…。あたしたち、倦怠期(けんたいき)なのかもしれないねぇ」
「ちょっと、待てよ。まさか、君…。俺のこと、もう愛してないのか…？」
＜つぶやき＞日頃(ひごろ)からの信頼関係(しんらいかんけい)が大切(たいせつ)かも。趣味(しゅみ)とか何か一緒(いっしょ)にやれることを見つけよ。
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