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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0675「しずく50~こもる」

2019-10-02 18:37:41 | ブログ連載~しずく

 ハルとアキは、しずくの方へ手を向けた。二人の手から出た光は、ベッドに寝ているしずくの身体(からだ)を優(やさ)しく包(つつ)み込んだ。
 ――二時間後、姉妹(しまい)はソファーに身(み)を投(な)げ出して、同時に呟(つぶ)いた。「ああっ、疲(つか)れたわ」
「ご苦労(くろう)さま」車椅子(くるまいす)の女性がハーブティーを二人の前に置いて言った。
 あずみは二人に近よって訊(き)いてみた。「で、どうなの? 大丈夫(だいじょうぶ)なんでしょうね」
 ハーブティーを一口飲(の)んでハルが答えた。「ええ、心配(しんぱい)ないと思うわ、おばさん」
「お、おばさんって…。私はまだ――」
 車椅子の女性がくすくす笑(わら)って、「この子たちから見たら、私たちはおばさんなのよ。だってもう三十路(みそじ)なんですからね。あなた、体力(たいりょく)も落ちてるんじゃないの?」
「千鶴(ちづる)! 言っときますけど、私はまだ29です。一緒(いっしょ)にしないでよ」
「あなたって昔(むかし)から変なことにこだわるのね。ふふっ、おかしい」
 あずみは教壇(きょうだん)に立っている時とは別人(べつじん)の顔になっていた。この千鶴とは、小さな頃(ころ)から一緒(いっしょ)にいて、何かにつけて競(きそ)い合っていた。今でも、そういうところがあるようだ。
 ハルは眠(ねむ)そうな目をしているアキを立たせると言った。「私たち少し休むわ。あとお願(ねが)いします。こっちのお姉(ねえ)さんは夕方まで起きないと思うわ。向こうの部屋のお姉さんは、身体の方は治(なお)せたんだけど…。なんか、自分の意志(いし)で心を閉(と)ざしてるみたいなの。だから、いつ目覚(めざ)めるかどうか…。ごめんなさい、私たちにはこれ以上(いじょう)のことは――」
<つぶやき>心を閉ざしてしまったしずく。いつ目覚めるのでしょう。この後の展開(てんかい)は…。
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