みけの物語カフェ ブログ版

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1225「しずく160~拉致る」

2022-04-01 17:33:10 | ブログ連載~しずく

 川相琴音(かわいことね)は、初音(はつね)の手を振(ふ)り払(はら)うと一撃(いちげき)を与(あた)えた。初音は手すりまで飛(と)ばされてしまった。琴音はゆっくりと初音に近づきながら言った。
「あら、まだこんなとこにいたの? 逃(に)げなって言ったでしょ」
 初音は体勢(たいせい)を立て直(なお)すと、「琴音、何しに来たのよ」
「ほんと…。姉(ねえ)さんはバカなの? わたしには勝(か)てないって分かってるはずでしょ」
 その時、もうひとり女学生(じょがくせい)が現(あらわ)れた。その女学生は、初音を見て不気味(ぶきみ)な笑(え)みを浮(う)かべた。そして、うずくまっている日野(ひの)あまりの方へ歩いて行く。
 初音は叫(さけ)んだ。「逃げて! 早く逃げて!」
 あまりは立ち上がるのが精一杯(せいいっぱい)だった。足がすくんで動くことができないのだ。初音は、テレパシーで助(たす)けを求(もと)めた。次の瞬間(しゅんかん)、初音の目の前に琴音が現れた。
「よそ見しないでよね。あなたの相手(あいて)はわたしなんだから」
 琴音は、初音の首(くび)に手をかけると締(し)め上げた。初音は何とか逃(のが)れると、あまりを助けに向かった。だが、琴音はそれを許(ゆる)さなかった。
 女学生は、その姿(すがた)を変えた。その女はエリスだった。エリスは、あまりを手すりまで追(お)いつめた。そして、あまりの胸(むな)ぐらをつかむとささやいた。
「一緒(いっしょ)に来てもらうわよ。あなたに頼(たの)みたいことがあるの。断(ことわ)ったら、命(いのち)はないわよ」
<つぶやき>助けは来てくれるの? このまま、あまりは拉致(らち)されてしまうのでしょうか。
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