みけの物語カフェ ブログ版

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0930「しずく101~強制覚醒」

2020-07-29 17:58:50 | ブログ連載~しずく

 ここは病室(びょうしつ)。柔(やわ)らかな日差(ひざ)しが窓(まど)から入り、カーテン越(ご)しにベッドに寝ている少女を優(やさ)しく包(つつ)み込んでいる。彼女の瞼(まぶた)がかすかに動き、ゆっくりと目を覚(さ)ました。
「やっとお目覚(めざ)めだね」ベッドの脇(わき)で座(すわ)っていた男がささやいた。「気分(きぶん)はどうだい? もう心配(しんぱい)いらないよ。つくね、私のこと分かるかい?」
「……パパ。どうしたの? 今日は、お仕事(しごと)じゃなかったの?」
「お前のことが気になって、仕事なんかしてられないよ。どこか痛(いた)いところとか――」
「大丈夫(だいじょうぶ)よ。どこも…。ねぇ、あたし、どうしたの? 何で、ここに…。思い出せないわ」
「大(たい)したことじゃない。明日になれば退院(たいいん)できるさ。そしたら、パパと一緒(いっしょ)に――」
 神崎(かんざき)つくねは急(きゅう)に起き上がるとドアの方を指(ゆび)さして、「誰(だれ)か来るわ。あたし、恐(こわ)い…」
 つくねは布団(ふとん)を握(にぎ)りしめて震(ふる)えだした。男はつくねから離(はな)れると、彼女を観察(かんさつ)するように見つめた。数秒後、ドアが大きな音を立てて開(ひら)き、数人の武装(ぶそう)した男たちが銃(じゅう)を手になだれ込んできた。男たちは、ベッドの上のつくねに銃を向け発砲(はっぽう)した。
 それは一瞬(いっしゅん)の出来事(できごと)だった。ベッドにいたつくねの姿(すがた)が消(き)えて、男たちがバタバタとその場に倒(たお)れてしまった。男たちのそばに、つくねの姿があった。つくねは、まるで別人(べつじん)のように見えた。そして、ふっと息(いき)を吐(は)いてその場に崩(くず)れた。男は彼女を抱(だ)き止めて、
「よくやった。その能力(ちから)は、私のために使うんだ。いいかい。お前は、私のものだ」
<つぶやき>つくねは能力に目覚めたようです。でも、それは悲劇(ひげき)を招(まね)くことになるかも。
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