大佗坊の在目在口

見たり、聞いたり、食べたり、つれづれなるままに!!

箱根塔ノ沢 阿弥陀寺

2015-07-13 | 小田原

箱根登山鉄道の湯本駅から1つ目の駅、塔ノ沢に薩摩琵琶を聞かせてくれるご住職がいるのを知った。
どうせならアジサイの季節と思っていたら、箱根大涌谷の火山噴火警報警戒レベル2になって、慌てて
阿弥陀寺に行くことになった。
 
どの案内をみても急な山道を登って20分位掛かるとある。急な山道というのも嫌だったが、もう1つ
気になった事がある。箱根は思った以上に野生動物が山里近くまで出没し、猿や鹿の目撃情報も多い。
以前、千葉の麻綿原で山ビルの被害にあった人を多くみた。この時は土産店で塩を貰ったり、
山仕事している人に山ビルが嫌う液体を分けて貰ったりして事なきを得たが、箱根は悪名高き
丹沢山地と嶺続き、鹿が増え行動範囲が広がれば山ビルの生息範囲も広がる。山ビル対策をして
塔ノ沢駅に降りた。この駅で降りた乗客は我等二人だけ、あの山道を登るなら気を付けてと
言っているように車掌さんと目があった。なんとなくホームを離れていく電車を眺めてしまった。
 
ふと足元をみると、蜥蜴が二,三匹チョロチョロしている。エッという感じ。蜥蜴が多いところには
ヘビも多い。難敵がまた増えた。
 
駅からの道は裏道みたいな感じの一本道で、二股の左に「阿弥陀寺参道入(塔ノ峰登山道)
阿弥陀寺迄八丁塔ノ峰二十五丁」と薄っすらと読める石標があった。
 
そこを約80m登って行くと突然ロータリーみたいな広場に出て戸惑う。緩い上り道を100m程歩くと、
寺の入口の案内板があった。ここまでで結構息が切れた。
 
山道の三分の一位のところにある山門を観たくて参道を登る。
駅からここまで誰一人として遭わないのが不気味だった。蛇を踏まないか、木の枝から山ビルが
落ちてこないかビクビクしながら休み休み、歩く事、30分、ようやく阿弥陀寺に着いた。
 
 
 
境内には車で登ってきた方が二名、思ったほどアジサイも人も少なかった。
 
住職の琵琶を聞くには五名以上の予約が必要だが、当日は幸いにもどこかの婦人会の参観が
二十名ほどあり大盛況となった。どんなグループなのか知らなかったが、本堂の外陣内陣区別なく
歩き回り、お寺の奥さんが慌てて、内陣に入らないよう絶叫していた。

阿弥陀寺は阿育王山と号し、開山は木食僧弾誓上人、上人が籠った塔ノ沢山中の岩窟で念佛修道を
始めた。慶長九年(1604)、小田原城主大久保忠隣より二十四町余の境内地寄進を受け阿弥陀寺を
建立、元禄十六年(1703)、浄土宗増上寺派となり、和宮が明治十年箱根塔之澤で他界されたが、
その際、塔之澤阿弥陀寺住職が通夜・密葬をつとめたことにより、和宮の御位牌が阿弥陀寺の
「皇女和宮葵御堂」に安置されている。このことから、阿弥陀寺は「和宮香華院」と呼称される。
「和宮様の御位牌」御法名は、「静寛院宮贈一品内親王好譽和順貞恭大姉(明治十六年和宮様の
七回忌法要時のもの)」
 
それにしてもご住職の琵琶演奏は、眼を瞑って息を止める程、迫力があり、平家物語の語りは、
桂離宮や苔寺では味わえなかった心を揺すぶるものがあり、一人で五名分支払ってもまた聴きに
行きたいものがあった。
 

コメント
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