白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(379) おちょやん(2) 手違い話と「手」

2021-02-13 16:33:49 | 松竹新喜劇
白鷺だより(379) おちょやん(2) 手違い話と「手」

「おちょやん」も第9週目も過ぎて いよいよ鶴亀家庭劇(松竹家庭劇)創立に話は進んできました 天海一平は鶴亀から依頼され当時人気トップの「須賀迺家万太郎一座」に対抗すべく喜劇団を作ろうと画策していたが結局須賀迺家千之助を入れないと一座として成立が不可能と判断して千之助を入れ「鶴亀家庭劇」なる一座を作ったたがそのこけら落とし公演のトリ狂言で自らの脚本ではなく千之助の脚本(ほん)「手違い話」をやれと押し付けられる この作品は実際も松竹家庭劇第一回公演でも演じられた「手」という作品がモデルである 

三年後の昭和8年4月京都南座での家庭劇でもトリ狂言として上演されており飼

その資料には

5.和老亭當郎 作 茂林寺文福 改綴

注、和老亭當郎は十吾の師匠 曽我迺家十郎のペンネーム
  茂林寺文福は曽我迺家十吾のペンネーム

「手」3場
手代久助 (天外) 斎藤源次郎(十吾) 芸妓千代龍(浪花千栄子)
斎藤の妻実子(石河薫)

とある
この作品は家庭劇の人気狂言らしくその後も昭和11年10月公演、昭和16年9月にも再演されており11年には同じキャストに
医師南波均 (元安豊)の名前が追加され
16年には 天外、十吾、石河、浪花千栄子は同じ役で
泥棒(十太郎) 医師南波均(森野鍛冶哉)雇婆お兼(田村楽太)が追加されている

さらに家庭劇結成から20年後の昭和23年12月に新たに出来た松竹新喜劇の結成初公演のトリ狂言にも上演されている

和老亭当郎 作 茂林寺文福 脚色  「手」3場
下男久助(天外) 源次郎女房実子(浪花千栄子) 泥棒(蝶次)
斎藤源次郎(十吾) 医師南波均(大磯) 芸妓駒次(秀蝶)
おちょぼお松(宇治川美智子) 雇婆お兼(田村楽太)
看護婦中島(鶴蝶) 医員加藤(藤山寛美) 芸妓千代龍(山本裕子)
同〆奴(九重京子) 同市香(寿栄蝶) 食堂主人喜平(家三郎)

その後新喜劇でも何度か上演されている

それにしても一平役の成田凌の久助の着付けはヒドイ
何とかならないのか

そうそう今週からタイトルバックに資料提供 館直志事務所の名前が入りました