天命を知る齢に成りながらその命を果たせなかった男の人生懺悔録

人生のターミナルに近づきながら、己の信念を貫けなかった弱い男が、その生き様を回想し懺悔告白します

Tマッカーシー自著で『モンキー・ビジネス』は上出来ホークス作品の自然で正しい型式を製作過程で見出せず

2011-02-19 15:30:34 | 日記
今日の続編日記は、未公開映画『モンキー・ビジネス:MONKEY BUSINESS(1952年製作 ハワード・ホークス監督 ケイリー・グラント ジンジャー・ロジャース チャールズ・コバーン マリリン・モンロー主演』のことです。添付した写真は、研究者ケイリー・グラントを捜し行き、見つけ出して若返った彼と一緒にプールで遊ぶ水着姿のマリリンです。
この映画『モンキー・ビジネス』は、当時の「Motion Picture Association of America(MPAA)」からさまざまクレームを突き付けられました。そのクレームが付いた当初の脚本を、『ハワード・ホークス トッド・マッカーシー著 高橋千尋訳(2000年フィルムアート社刊)』より紹介します。
・(1).開発研究者の妻(ジンジャー・ロジャース)に関して、その新薬実験台になる動機は、夫を第二のハネムーンに連れ出して、ベット入りする為のもの
・(2).妻が露骨にハネムーン先でセックスに関心を取り戻す卑猥な言葉
・(3).裸になった夫の研究者(ケイリー・グラント)が妻をシャワー室に引っ張り込む行動
・(4).開発する製薬会社社長(チャールズ・コバーン)に関して、とても肉感的な若い秘書(マリリン・モンロー)とのお付き合いの為、その新薬を性欲昂進剤に用いる不純な動機
・(5).社長が自分の秘書に向かってひっきりなしに色目を使う仕草
・(6).研究者がパーティ欠席の電話『今晩は、僕たちは野暮用があって家にいる』との意味深な言葉
・(7).若返った研究者の妻が社長に『間抜けじじい』と罵倒する言葉
これらの脚本に、MPAAがことごとく手直し命令を出した結果、私が観た映画では
・改悪(1).研究者自ら実験台になったら、冷静にその治験結果を記録できないので、その妻が身代わりになって夫の研究者に記録させる「内助の功」的な良妻に変更される。
・改悪(2・3・5・6・7).これらのシーンはすべてカットされる。
・改悪(4).その新薬の名前をB-4と改め、社長の個人的な興味である不純な動機でなく、商業ベースの不老不死の妙薬開発に変更される。
その為残念ながら、当初の大人のセクシーで冒険的なコメディから、子供(実際インディアンごっこする子供も登場)じみたおふざけ映画に変わってしまったと、今私は思っています。
映画評論家トッド・マッカーシーも自著『ハワード・ホークス』で、
『上出来のホークス作品には、製作の過程が作品の自然で正しい型式を見出す手助けをしているのが感じられるものだが、「モンキー・ビジネス」には、そうしたところがどこにもないのだ。』と語っています。
この映画『モンキー・ビジネス』は、その製作する監督の意図が完全に無視されたら、とても悲惨な結果になる顕著な事例の一つだと、私は今思っています。
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