今日の日記は、映画『野良犬』(1949年製作 黒澤明監督 三船敏郎 志村喬 淡路恵子主演)での斬新で画期的なサスペンスシーンのことです。
この映画は、拳銃を盗まれた若い警視庁の村上刑事(三船敏郎)が、先輩で犯人逮捕の貢献で数々の表彰を受けている佐藤刑事(志村喬)と一緒に、その拳銃を使い凶悪犯罪を繰り返す犯人・遊左(木村功:この作品が映画デビュー作)を追い詰めて逮捕するまでを描く刑事ドラマです。
派手なアクションシーンなどは何も出てこないですが、後のサスペンス映画に大きな影響を与えたと思う、斬新で画期的なサスペンスシーンを黒澤明監督を映画で見せてくれます。
この映画のもう一人の主役である犯人は遊左は、最後の最後まで映画で顔を見せません。そして、遊左が幼馴染で深く愛している踊り子・並木ハルミ(淡路恵子)の名前を偽名(並木春夫)にして、都内ホテルに泊まっていることを、ようやく佐藤刑事は突き止めます。佐藤刑事は、その逃亡先ホテルの電話室から、並木ハルミの自宅に張り込みをしている村上刑事に電話で連絡しようとします。
しかし、そのホテル支配人の妻が泣いている子供をたしなめる時、思わず言った言葉『おまわりさんが来ているから、泣いてばかりいると刑務所に連れていかれるから!』を、たまたま2階から下りて来た遊佐に聞かれてしまいます。そのシーンも階段の途中で止まった遊佐の足を見せるだけの斬新な演出です。
その予期せぬアクシデントをまったく知らない佐藤刑事は、村上刑事を呼び出してもらう為、電話室で待っています。さらに悪いことに、ハルミの集合アパート管理人は、豪雨と雷の爆音で、村上刑事をハルミと勘違いしてしまい、電話に出るのはハルミとなってしまいます。
見ている観客は、佐藤刑事に次に迫り来るだろう危機を、ハラハラ・ドキドキして見守るだけしかありません。その上、このロビーに居たホテル支配人の妻が、ラジオでダンス音楽を大音響で流し始めます。この悪環境では、まともに電話室でも会話が出来なくなってしまいます。
このように、”佐藤刑事の運命やいかに?”と思わせるとても切迫したサスペンスシーンが展開します。そして、ついに、階段を下りて来た遊佐は、電話室で電話を待っていた佐藤刑事を撃って雨の中ホテルから逃亡します。
添付した写真は、その銃声に驚いて電話器を取って佐藤刑事に連絡するハルミ(淡路恵子:右端)悪しき情況に呆然とする三船敏郎(三船敏郎:左端)とハルミの母(三好榮子:黒澤映画の常連)、しかし何も知らず平然と酒を飲んでいる管理人(高堂國典:黒澤映画の常連「七人の侍」村の長老が印象的)の四人です。
黒澤明監督は、サスペンス映画を撮らせても超一流です。この電話シーンを観ながら、私は映画『ダイヤルMを廻せ!』(1954年製作 アルフレッド・ヒッチコック監督 レイ・ミランド グレイス・ケリー主演)の有名なシーンを思い出してしまいました。
ヒッチコック作品ではグレイス・ケリーが被害者であり、黒澤作品では志村喬と、多少情況設定は違いますが、”電話をうまく使ったサスペンス映画”との共通項は確実に存在しています。
巨匠・黒澤明監督であればこそ、サスペンス映画の真髄を良く知っており、この分野でも一流作品を残してくれたと、私は今得心しています。
この映画は、拳銃を盗まれた若い警視庁の村上刑事(三船敏郎)が、先輩で犯人逮捕の貢献で数々の表彰を受けている佐藤刑事(志村喬)と一緒に、その拳銃を使い凶悪犯罪を繰り返す犯人・遊左(木村功:この作品が映画デビュー作)を追い詰めて逮捕するまでを描く刑事ドラマです。
派手なアクションシーンなどは何も出てこないですが、後のサスペンス映画に大きな影響を与えたと思う、斬新で画期的なサスペンスシーンを黒澤明監督を映画で見せてくれます。
この映画のもう一人の主役である犯人は遊左は、最後の最後まで映画で顔を見せません。そして、遊左が幼馴染で深く愛している踊り子・並木ハルミ(淡路恵子)の名前を偽名(並木春夫)にして、都内ホテルに泊まっていることを、ようやく佐藤刑事は突き止めます。佐藤刑事は、その逃亡先ホテルの電話室から、並木ハルミの自宅に張り込みをしている村上刑事に電話で連絡しようとします。
しかし、そのホテル支配人の妻が泣いている子供をたしなめる時、思わず言った言葉『おまわりさんが来ているから、泣いてばかりいると刑務所に連れていかれるから!』を、たまたま2階から下りて来た遊佐に聞かれてしまいます。そのシーンも階段の途中で止まった遊佐の足を見せるだけの斬新な演出です。
その予期せぬアクシデントをまったく知らない佐藤刑事は、村上刑事を呼び出してもらう為、電話室で待っています。さらに悪いことに、ハルミの集合アパート管理人は、豪雨と雷の爆音で、村上刑事をハルミと勘違いしてしまい、電話に出るのはハルミとなってしまいます。
見ている観客は、佐藤刑事に次に迫り来るだろう危機を、ハラハラ・ドキドキして見守るだけしかありません。その上、このロビーに居たホテル支配人の妻が、ラジオでダンス音楽を大音響で流し始めます。この悪環境では、まともに電話室でも会話が出来なくなってしまいます。
このように、”佐藤刑事の運命やいかに?”と思わせるとても切迫したサスペンスシーンが展開します。そして、ついに、階段を下りて来た遊佐は、電話室で電話を待っていた佐藤刑事を撃って雨の中ホテルから逃亡します。
添付した写真は、その銃声に驚いて電話器を取って佐藤刑事に連絡するハルミ(淡路恵子:右端)悪しき情況に呆然とする三船敏郎(三船敏郎:左端)とハルミの母(三好榮子:黒澤映画の常連)、しかし何も知らず平然と酒を飲んでいる管理人(高堂國典:黒澤映画の常連「七人の侍」村の長老が印象的)の四人です。
黒澤明監督は、サスペンス映画を撮らせても超一流です。この電話シーンを観ながら、私は映画『ダイヤルMを廻せ!』(1954年製作 アルフレッド・ヒッチコック監督 レイ・ミランド グレイス・ケリー主演)の有名なシーンを思い出してしまいました。
ヒッチコック作品ではグレイス・ケリーが被害者であり、黒澤作品では志村喬と、多少情況設定は違いますが、”電話をうまく使ったサスペンス映画”との共通項は確実に存在しています。
巨匠・黒澤明監督であればこそ、サスペンス映画の真髄を良く知っており、この分野でも一流作品を残してくれたと、私は今得心しています。