インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

『四つの約束』③  ~死の天使に降伏する~

2012-06-18 06:58:15 | カスタネダ『呪術の実践』 !
  『四つの約束』を読んだ。カスタネダと内容は重複しているが、こっちはドン・(ミゲル・ルイス)たるナワール自身が語っているからか、断然わかり易い。人間は飼い慣らされている。そして寄生体に「間違った言葉を、個人的に受け取り思い込みをして」流している血を吸われている。人間が感情的に苦しみ、煩悶すればするほど、寄生体は踊って喜ぶというわけである。

 長生きしたい、死ぬのが怖い、という感情も、それは人間に取り付いている寄生体が「お前が死んだら俺も死んでしまう、だから死んではいけない」と刷り込ませているのである。

 人間は心を寄生体に支配され、寄生体の心を自分の心だと勘違いして生きているわけで、死ぬまで寄生体から逃れることができないのだろう(カスタネダの捕食者の話と同じ)。

 「死の天使」は救いである。あと一週間しか生きられなかったと知ったら、ふつう、寄生体は最後に暴れだす。死そのものよりも、死の恐怖で、人間は麻痺してしまうのだろう。もう一方で、開き直ってしまえば、寄生体から自由になり、短期間ではあるが充実した生を過ごせることができるのである。

 そういえば、今朝天災が起こるような夢を見たし(2012年12月末か? 吾輩のツイッターに記載)、遅いか早いかの違いで、誰でも死ぬのである。

  『四つの約束』第六章 トルテックの自由の道~古い合意を破ること   

   死への入門:死の天使の抱擁 
 p95~99  より。


  死の天使は、私たちに、毎日を、人生最後の日として生きることを教える。私たちは、毎朝、こういって、その日を始めることができる。「さあ、目が覚めた。太陽が出ている。私は、太陽、全てのもの、全ての人に感謝を捧げよう。私は生きているからだ。もう一日、私は生きるからだ」。

 これが私の人生に対する見方である。そして、これが死の天使が私に教えてくれたことである。全てに対して開かれており、何も恐れることがないことを知ることである。もちろん、私は、愛する人に対して、愛を持って接する。なぜなら今日が、どのくらいその人たちを愛しているかをいえる最後の日だからである。私は、もう一度、あなたに会えるかどうかわからない。だから、喧嘩をしたくないのである。

 もし、私があなたと大げんかをして、あなたに対して持っている感情の毒を全てさらけ出し、そして、あなたが明日、死んだとしたらどうだろうか。さあ、たいへんだ。「裁判官」は、ひどい罪を宣言するだろう。私は、あなたの言った全てのことに対して、非常に罪の意識を感じるだろう。私は、どのくらい愛しているか、あなたに言わなかったことに対しても罪の意識を感じるかもしれない。私を幸福にする愛は、あなたと分かち合うことのできる愛である。なぜ、あなたを愛していることを否定する必要があるだろうか。あなたが私を愛しているかどうかは、問題ではない。私は、明日死ぬかもしれないし、あなたが明日死ぬかもしれない。私を幸福にするのは、今、あなたにどのくらい愛しているのかを告げることである。

 このようにして、人生を生きることができる。そうすることで、あなたは死への入門を準備する。死への入門で起こるのは、あなたの心の中にあった古い夢が、永遠に死ぬことである。あなたは寄生体の夢を持っている。しかし寄生体は、永遠に死ぬのである。

 死への入門で死ぬのは、この寄生体である。死への入門が困難なのは、「裁判官」や「犠牲者」が、全力で死に抵抗するからである。彼らは、死にたいと望んでいない。そして私たちは、死ぬのは自分だと思っており、死を恐れるのである。

 この地球の夢の中に生きていると、まるで自分たちが死ぬように感じる。しかし、死の入門に生き残った者は、もっとも素晴らしい贈り物を受け取る。それは「再生」である。再生を受け取る者は、死から身を起こし、息を吹き返し、再び、ありのままの自分になる。再生とは、子供のようになることである。しかし子供のように荒々しく、自由であるが、そこにはひとつの違いがある。違いは、私たちが無邪気さの代わりに知恵を持っていることである。私たちは飼い慣らしの絆を断ち切って、自由になり、心を癒すことができる。死の天使に降伏すれば、寄生体が死に、健康で、完全な理性を持って生き返ることがわかる。その時、私たちは、自由に自分の心を使い、自分の人生を生きることができるようになる。

 これが、トルテックの道において、死の天使が教えることである。死の天使は、私たちのところにやって来て、こういう。「ここにある全てのものは、私のものである。それは、おまえのものではない。おまえの家、おまえの連れ合い、おまえの子供、おまえの車、おまえの仕事、おまえの金、全ては私のものであり、いつでも望む時に、おまえから奪い取ることができる。しかし、今はおまえに使わせておいてやる」。

 もし、私たちがこの死の天使に降伏すれば、私たちは永遠に幸福である。なぜか。死の天使は、人生を続かせるために、過去を奪い取るからである。過ぎ去っていくあらゆる瞬間、死の天使は死んだものを受け取り、私たちは現在に生き続ける。寄生体は、私たちが過去を担い続け、生きることをとても重く感じることを望む。過去に生きようとすれば、現在を楽しむことは出来ない。未来を夢見る時、なぜ、過去の重荷を担い続けなければならないのだろうか。これが死の天使が私たちに教えることである。

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