インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

『ダーク』 桐野夏生

2009-08-29 22:38:29 | 映画や小説、テレビなど
 昨日は閲覧数 : 289 PV 訪問者数 : 152 IPで、深夜の閲覧が多かったようだ(0時から5時までで67人)。今日も暑くて未だに33度、深夜から訪問されるのだろうか。

 さて、ようやく『ダーク』を読了した。300ページまでは面白く読めたが、こう長いと麻痺してくる。ダークというタイトルは、「悪運を呼ぶ女」ということか。

 
ダーク
桐野 夏生
講談社

最高に厚い本です(活字数は?ですが)


 内容が内容なので問題もあるが(?)、レベルが高い小説である。文学的な表現が多く、読書をしたという満足感がある(500ページもあるし)。こういう本を愛する者は、ケータイ小説に耐えられないだろう。

 無名作家でも、これぐらいの原稿が書ければ即デビューできるであろう。長さは半分あれば十分、講談社のメフィスト賞辺りに持ち込めば…

 大型新人作家の誕生だわい(印税がどんどん入ってきます)

 アルファポリスの大賞には出さないのですか(まさか別人で応募するとか)

 乱歩賞作家だから(しかも直木賞作家!紫式部賞も)、分厚い小説に付き合ってもらえるのであるが、一体この書き主の頭はどうなっているのか、切り開いて見てみたいものだと思いながら読んでいた。

 あなたならもっと異常な小説が書けるはずです(応援します)

 時間とカネを注がなければなりませんから(寄付してください) 

 まろは本能的に、小説を読みながらも、小説を作るまでのプロセスも同時に読み解いている(作者という人間そのものも)。

 プロセスは大きくわけでやはり3つであろう。

 ①キャラ作り(人生経験から悪人や特徴ある人物のモデルを探す)
 ②パズルでもしたかのようなあっと思わせるストーリーを作る。
 ③徹底的な取材・調査

 書いている人間が同じだから、根底に流れている何かは同じなのである。桐野夏生クラスでは③が凄くて、函館や福岡、韓国などの記述があるが、実際に飛んでいる。元福岡市民が読むに、博多リバレインの近くでホテルに泊まって構想を練った形跡が見られる。釜山やソウルにも行ったに違いない。海外旅行をしながら小説を書く…。妄想に浸る。たまらん生活だが、ヤバイかもしれない。コピー商品や覚醒剤などの悪事について、独自の取材をしている(まさか…)。

 ①の人物造りも、色々化けるのが上手い。車椅子やら盲人やら、水商売の果ての姿やら、想像力豊かで、本当になりきっている。

 ②もよく出来たカルマ小説だが、先がどうなるのか分からないということは、大まかな枠組みだけ決めて? 後は「一体この主人公はどうなるのだろうか」と考えながら、ハラハラドキドキしながら(作者が)執筆していたのだろう。

 一体この登場人物をどのように懲らしめてやろうか(ダーク、ダーク…)

 …と浸りながら桐野夏生は書いて行き、
 何だ、登場人物がどんどんおかしくなっていくぞ(海外逃亡か?)

 …と読者ははまり込んでいくのです

  金も使い、頭も使い、全身全霊で書かれた本であるわい(『ネ○とヒヨ○』と大違いです)